LAVIDA、原山中、レッズジュニア…… 2019シーズンを振り返る

3種はFC LAVIDA、原山中が全国で躍進。4種は浦和レッズジュニアが創設7年目で初の全国切符を掴んだ。高校サッカー編に続き、4種、3種、高校女子サッカーの2019年を振り返る。

2月

アビリスタが新人戦初V(4種)

4種新人戦を制したのはアビリスタ。初優勝のかかった決勝はレジスタBとの対戦となった中、前半のうちに広瀬が抜け出して先制。後半は相手のロングボール攻勢にさらされたが、そこを凌ぐと綺麗なサイドチェンジから成沢が豪快にネットを揺らして勝負を決めた。大会を通じて個々の技術の高さが光った。「ひとりひとりの技術とアイディアを生かしながらやれたらいい」と菊岡監督。最優秀選手に輝いた広瀬や成沢らアタッカー陣に加え、「センターバックなんですけど、ボールを持った時にドリブルで行ったり、キラーパスを出したり、ロングシュートを狙ったりするところが得意」という安倍ら、後ろの選手も攻撃的なスキルの高さを見せた。

・「個」の技術の高さを見せたアビリスタが初の栄冠

2月

LAVIDA佐藤海空斗がU-15日本代表に選出(3種・クラブチーム)

FC LAVIDAから初の代表戦士が誕生。同クラブ所属のMF佐藤海空斗が2月のイタリア遠征でU-15日本代表に初招集された。もともと小学校6年生の時点である程度身体が出来上がっている、いわゆる「早熟」タイプだったが、LAVIDAでドリブルという唯一無二の武器を身につけて大きく成長。世代別代表入りを掴んだ。まだ判断の部分やひとつひとつのプレーの質には課題はあるが、ボランチの位置からダイナミックに持ち上がり、フィニッシュまで絡んでいけるのが佐藤の魅力だ。今年1月にはU-16代表のトルコ遠征メンバーに選出されるなど着実にステップを上がっており、4月から進む昌平でも1年からゲームに絡んでいくことが期待される。

・FC LAVIDAの佐藤海空斗がU-16日本代表トルコ遠征メンバーに選出
・佐藤海空斗(LAVIDA)「自分の武器、シュートを決められるボランチを見せていきたい」 U-15日本代表への意気込み語る
・佐藤海空斗、岡本岳らがU-15日本代表候補トレーニングキャンプメンバーに選出
・U-15日本代表候補にLAVIDAの佐藤海空斗が選出
・FC LAVIDA佐藤海空斗と浦和レッズ桐山龍人がU-15日本代表欧州遠征メンバーに選出

7月

原山中が県2冠&関東制覇。全国でも私学優勢の中で8強に。南浦和中も初の全国(3種・中体連)

昨年の中体連で存在感を放ったのが原山中だ。攻守に魅力的なタレントが揃った2019年度は新人戦に続き、学総も制して「埼玉2冠」を達成。また、近年は埼玉勢が苦戦を強いられていた関東大会でも優勝を飾り、全国大会行きを決めた。全国でも私学優勢の中で公立勢として唯一となるベスト8入り。前年度の最後の大会となった高円宮杯でもクラブチームを倒して代表決定戦まで進むと、関東にはあと一歩及ばなかったが、それでも原山の歴史を次々と更新した世代の最後は笑顔だった。また、南浦和中も関東大会準優勝で初の全国大会に出場。ここを経験した2年生たちが新年度の新人戦で主力としてチームに初タイトルをもたらすことになる。

・「市の男」を返上! 松本が準決勝の2ゴールに続き、決勝でも1ゴール含む全2ゴールに関わる活躍
・岩波がバースデー弾含む1ゴール1アシスト 攻撃性生かす「バイプレーヤー」が関東制覇の一因に
・原山中が全国快勝スタート 南浦和中は初戦で姿を消す 第50回全国中学校サッカー大会
・原山中の平石陸人が大会優秀選手に 第50回全国中学校サッカー大会
・成長しながら「応援されるチーム」になっていった原山中 最後は笑顔で次のステージへ

8月

LAVIDAが初の全国でベスト8に(3種・クラブチーム)

初の全国でLAVIDAの選手たちが躍動した。グループリーグでは出場チーム最多の13得点を記録。決勝トーナメントでサンフレッチェくにびき、藤枝東FCを破って、ベスト8入りを果たした。特筆すべきは得点パターンの豊富さ。サイドバックも含めて出場10選手が得点するなど、「センターバック以外すべてのポジションで点を取る意識を持つ」LAVIDAスタイルを体現した。また、関東予選では連戦で失速したこともあり、全国に向けての約1ヶ月間で選手層を拡充。特にアタッカー陣については毎試合組み合わせを変えるなど、関東での反省を生かせたのが大きいと村松監督は振り返る。同大会ではキーパーの上林が優秀選手入りを果たしている。

・FC LAVIDA、初の全国はベスト8に 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会
・LAVIDAが8強へ進出!次戦は街クラブ鬼門の準々決勝 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会
・LAVIDAが6発大勝で16強へ! 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会
・篠田の4発などLAVIDAが圧巻の9得点! 1位でノックアウトステージへ 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会
・【チーム紹介】FC LAVIDA

11月

花咲徳栄が3年連続の県3冠。4年連続の選手権ならずも「人間的に成長できた」(女子)

高校女子は花咲徳栄が3年連続の県内3冠を達成した。インハイ決勝は南稜とのPK戦にもつれ込んだ熱戦を制してV。選手権では国体女子選抜に選ばれた渡邉が決勝リーグ3戦連発となるゴールを決めるなど強さを見せた。一方で関東大会は修徳に敗れ、4年連続となる全国出場とはならず。それでも渡邉は「入学当初は気持ちの弱いプレーが多くて、それは最高学年になっても言われることは多かったんですけど、自分から気持ちの部分でもチームを引っ張っていかないとダメというのは途中で本当に強く思うようになって、3年間を通してそこは本当に一番、技術よりも人間性として、成長できたと思います」と胸を張って、高校サッカーを終えた。

・全国には届かずも大きく成長した3年生 渡邉「技術よりも人間性として成長できた」
・「芝が少し長いので走れば間に合うと思って」 2年生MF渋谷が芝を読んで好アシスト
・国体選抜に選ばれた渡邉莉沙子が2ゴール! トップの加藤心和と好連携を披露
・苦しみながらも大会通じて失点「0」 1年生CB平澤も好パフォーマンスを披露
・【チーム紹介】花咲徳栄高校 女子サッカー部

11月

レッズジュニアが7年目で初の全国。江南南に関東少年のリベンジ(4種)

浦和レッズジュニアが創設7年目で初の全国を掴んだ。全日本予選決勝の相手は関東少年サッカー大会決勝で敗れた江南南。前半は押し込まれる展開となった中でゲームを決めたのはFW小鷹だ。関東予選では後半から途中出場したものの慣れないシステムもあり、実力を十分に発揮できなかった中でこの試合でも前半はなかなか前にボールが来なかったが、焦れずにチャンスを待つと、味方のアーリークロスに175cmの長身を目一杯伸ばして足先で触れてゴールに運び、これが決勝点となった。「前回関東大会で負けていて悔しいところもあった。その相手に今回こうやって全日で勝てて、本当に嬉しいです」と、リベンジ達成に満面の笑顔を見せた。

・小鷹凛太朗の決勝点でレッズJrが初優勝! 関東予選のリベンジに「本当に嬉しいです」
・【フォトギャラリー】全日本U-12サッカー選手権大会埼玉県予選 準決勝

11月

南浦和中が初の県タイトル、大谷場中も初の埼スタのピッチを踏む(3種・中体連)

就任4シーズン目で初の栄冠。神立監督は「南浦和に来て3年、期待もされる中で簡単なことじゃなかったが、やっとタイトルが取れた」と振り返った。前年度は初の関東、全国大会に出場。今年のメンバーも途中出場を含めて半数弱が全国で貴重な経験を積んでいた。そんな中で迎えた新人戦は市予選を圧勝すると、県でも他の追随を許さず。中央から連続して押し込み、個の技術で打開する攻撃スタイルはまさに指揮官が前任の尾間木でやってきた形で「3年経ってやっと「神立らしい」尾間木の時のようなチームができてきた」(監督)。エースの高橋は大会を通して12ゴールと爆発。また大谷場中も堅守を軸に初の決勝進出を果たしている。

・より濃さを増した「攻撃スタイル」。神立監督4シーズン目で南浦和が初優勝を達成!
・【フォトギャラリー】埼玉県中学校新人体育大会 準決勝 川口戸塚西 vs さいたま南浦和
・【フォトギャラリー】埼玉県中学校新人体育大会 準決勝 埼玉栄 vs さいたま大谷場

12月

上尾朝日が4種リーグ初制覇(4種)

クラブチームと比べれば身体能力的にずば抜けているわけではない中で、上尾朝日は磨いてきた個の「技術」と「判断」で相手を上回って初の4種リーグタイトルを掴んだ。攻撃では次々と人が関わっていくサッカーを披露。決勝のGois戦で見せた追加点のシーンなどはまさにこだわってやってきた形だ。守っては6試合を通じて失点0。しっかりとチャレンジ&カバーを徹底、体格で勝る相手に対しても前ではめ込むことによってその力を無効化した。主将の島垣は全日本予選ではチーム事情もあり、サイドを務めた中で「やっぱり自分の中ではFWが生きるポジションだと思いました」。この大会ではFWに復帰し、決勝の2ゴールで優勝に導いた。

・磨き上げた「技術」と「判断」。「人が関わるサッカー」で上尾朝日が4種リーグ初制覇
・積極的に仕掛けた山谷が4強壁破るゴール 決勝では対戦相手も「ナイスプレー」と賛辞
・劇的展開でGoisが決勝へ。平野が終了直前に同点弾、PK戦では佐々木が5人目を阻止

12月

クラブ与野が悲願の関東昇格(3種・クラブチーム)

ここ2年はいずれも勝ち点1差の2位。昨年はプレッシャーもあった中で「選手たちが『自分たちの代で優勝したい』という強い想いを持っていた」と中森監督はいう。残り3節を2位で迎えると坂戸ディプロマッツとの直接対決を制して首位に浮上。最後の3戦はすべて1−0と勝負強さを見せて悲願の県1部リーグ優勝を掴んだ。勝ち点「47」はこの3年で最多、失点「4」は最少で、流れの中からの失点は「0」と守備が光った。12月の参入戦では意思を受け継いだU-14が勝利し、初の関東2部昇格を決めた。2000年創設で、今年でちょうど20周年。記念イヤーを関東リーグで迎える選手たちの目標はもちろん2年連続の昇格、関東1部入りだ。

【チーム紹介】クラブ与野

石黒登(取材・文)