学校総合体育大会(高校サッカー女子の部)決勝 花咲徳栄 vs 南稜

学校総合体育大会(高校サッカー女子の部)は12日にさいたま市浦和駒場スタジアムで決勝戦を行い、花咲徳栄高校がPK戦の末に南稜高校を下して3大会連続4度目の頂点に立った。


昨年と同一カードとなったファイナルだが、ピッチに描かれたのは全く違った絵だった。

立ち上がりから仕掛けた南稜はボランチの金澤実音らが中盤でボールを回収しつつ、シンプルに配球して縦への姿勢を明確に打ち出す。逆に花咲徳栄はこのハイテンポな展開を受ける形となってしまい、前半は自分たちのペースで進めることができず。シュートも3本に終わった。

試合がやや落ち着いた後半はFW渡邉莉沙子を中心に攻め込む回数を増やした花咲徳栄だが、相手守備も集中力が高く、最後の部分を崩しきることができない。終盤はカウンターから南稜がゴールに迫ったが、結局両チームともにネットを揺らせないまま試合は延長戦に突入した。

この試合最大のチャンスは延長前半1分。花咲徳栄は相手のクリアボールをMF吉川侑希がヘディングで弾き返すと混戦からMF渋谷桃果がシュート。こぼれ球に途中出場の1年生FW滝沢美結が詰めに行くが、南稜はDF三角楓、GK鮎貝海空が身体を張ってこの場面を阻止した。

そのまま延長戦でもスコアは動かず、勝負の行方はPK戦へ。そのPK戦では1本目を外した南稜に対し、花咲徳栄は5人全員がきっちりと決めて80分を超える熱戦にピリオドを打った。

苦しみながらも大会通じて失点「0」 1年生CB平澤も好パフォーマンスを披露

5試合を通して与えた得点は「0」。今大会は花咲徳栄らしい前から限定していく組織的な守備がなかなかハマらなかった中で、後ろが個の強さを発揮して堅守でタイトルを掴み取った。

中央は昨年から主力の2年生佐藤美莉に加えて、1年生ながら今大会4試合に出場した平澤青季が奮闘。平澤は決勝もスタメン出場すると、得意の1対1の守備で存在感を見せた。末貴光監督も「4バックの中では一番心配していたんですけど、しつこく、粘り強くやってくれた。いままでの試合のなかで一番良かったかもしれないですね」と、そのプレーぶりを評価した。

試合ではそんな若き守備者を経験値のある先輩たちがしっかりとサポート。コンビを組む佐藤は昨年のキャプテン、大沼歩加(現・日本大学1年)に自分がそうしてもらったようにカバーリングやラインコントロールで1年生CBの思い切りの良いプレーを引き出した。「昨年はチームをまとめてもらったり、いろいろと教えてもらった。自分も歩加さんみたいになりたい」。

高校最初の大会を終え平澤は「まだ先輩に助けられている部分が多い。関東ではさらに自分の良さを出して、県大会で出た課題も改善して、全国大会に行けるように頑張っていきたいです」と語った。日々成長を重ね、来月の関東大会ではチーム4年ぶりのインターハイを狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 0(5PK3)0 南稜