武南は松原のPK弾で勝利も不満の残る内容に 準決勝は裏選手権準Vの八千代「次に繋げられる状況」をプラスに捉え、強敵相手に真価発揮となるか
令和5年度 第66回 関東高校サッカー大会が27日に東京都内で開幕。各都県1位によって争われるAグループに臨んだ武南は霞ヶ浦(茨城)に1-0で勝利し、準決勝進出を決めた。
武南は1トップに入った大熊來瑠(2年)が前半開始早々に裏抜けからチャンスを作り、11分には1年次から10を背負うエースMF松原史季(3年)の直接FKがクロスバーを直撃した。
また、県予選では後半からアクセントを加える意味で取られることが多かったFW戸上和貴(3年)の右サイド起用をスタートから実施。その戸上が12分、15分と連続して決定機を迎えた。
その後も松原が自在にポジションを取りながら攻撃を牽引する。39分には相手のセットプレーを回収し、高速カウンターを発動。FW出身のCB小金井遥人(3年)はDF飯野健太(3年)に預けると、一気にゴール前へ。リターンから迫るが、相手GKの好守に阻まれてしまう。
後半もあと一歩の状況を作りながらも得点に結びつけられていなかったが、中盤についにスコアが動く。17分、飯野がエリア右に侵入し、“深い”切り返し。これが滑り込んだ相手DFのハンドリングを誘った。PKは松原がゆっくりとした助走から右足できっちりコースに流し込んだ。
松原は昨年の韮崎戦に続き、関東初戦でのゴール。「去年もPKとFKで1本ずつ取っているので、PKの時も去年決めてるしなっていう心境で自信を持って、冷静に蹴れたかなと思います」。
しかし、これが唯一のゴールに。終盤は途中出場のFW文元一希(3年)も決定的なシーンを作り、前後半合わせて17本のシュートを放ったが、もう一度ネットが揺れることはなかった。
勝利はしたものの、内容的には不満の残るものに。大会に臨むに当たってはしっかりとスカウティングし臨んだが、予想以上に蹴ってくる相手にボールを繋いでいなしながら前進する「自分たちのサッカーができていなかった」(宮里)。また、マンマークを駆使してくる相手に対し、3人目の動きやランニングによって生まれたスペースを使って攻めたかったが、スペースに入る動きが少なく、後半は改善されたところもあったが、内野慎一郎監督も「保守的だった」と話す。
その中で相手にも決定機を作られたが、守護神の前島拓実(3年)がしっかりと零封。松原も「今日は前島のセーブがあったからこその1対0だったかなと思います」と影のMVPを讃えた。
準決勝の相手はNEW BALANCE CUP準優勝の八千代(千葉)。「やっぱり強いチームだと思いますし、今日みたいなゲームをやっているようじゃ絶対に勝てない。もっと強度を高めて、明日100で臨めるようにやりたい」と松原。中盤底でゲームコントロールを任されるMF宮里丞(3年)は「今日はちょっと自分もほかの選手も全然うまくいっていないことが多くて、フラストレーションが溜まっている選手たちも多い。明日はその怒りを発散できるように頑張りたい」と意気込みを語った。「次に繋げられる状況」をプラスに捉え、強敵相手に真価を発揮する。
石黒登(取材・文)
試合結果
霞ヶ浦 0-1 武南
0(前半)1
0(後半)0