武南MF山本昇汰、途中出場から技術魅せた決勝弾!パンチ力のあるFKも披露

取材陣からも「こんなに良い選手が後から出てくるんだ」と感嘆の声が上がったほど。出場時間は20分弱と少なかったが、武南MF山本昇汰(3年)はその中でも大きなインパクトを残した。

この日は後半17分から途中出場。そして27分、MF松原史季(2年)がドリブルで持ち出してFW杉沢旭浩(2年)が中にワンタッチで叩くと、山本はゴールエリア中央でボールを受ける。

相手も食らいついてきたが、背番号17は冷静に技術を発揮する。「アッキー(杉沢)からボールが来て、DFが左側から来た史季に食いついたので、まず右側が空いているなというのがあった。ファーストタッチで右に持って行った時に相手が食いついてきたので、自分の得意なキックフェイントで交わせたら絶対にキーパーも逆をついて、決められるなという自信がありました」。

その場の空気を圧縮したような一瞬でマーカーを振り切り、GKの重心をずらすと最後は落ち着いて左足でゴールネットに流し込んでチームの2点目をゲット。これが武南の決勝点となった。

また、後半34分にはパンチのあるFKを披露。右足から鋭く打ち出されたスピードボールはわずかに上に外れたが、強烈なインパクト。またキック力を生かしたサイドチェンジでも魅せた。

山本は昨年の関東予選にも出場し準優勝に貢献。指揮官も期待を寄せていたが、その後はなかなか結果を出せず、出場機会を積むためセカンドチームへ。「自分自身も悔しくて関東大会では絶対にやってやろうと思っていました」というアタッカーは準々決勝の大宮南戦翌日の練習試合で好アピールに成功。そしてこの日少ない出場時間の中でも確かなインパクトを残してみせた。

内野慎一郎監督も「視野が広くて、シュート力もあって仕留められる。FKもすごい。S2だと10番で躍動するんですけど、トップになるとパス回しに徹してしまうところがあったので強気でやってよと。そういうのが出てきた」と評価。山本にとっても大きな自信をつける一戦となった。

守備の強度や攻守の切り替えは課題だというが、そこを克服し、ストロングポイントを継続的に出せるようになれば、トップチームにもいないタイプなだけにその価値を高めていけるはずだ。

石黒登(取材・文)