COPA BUNAN AMIGOS 2020決勝 武南 vs 大宮南

4日間にわたって開催された「COPA BUNAN AMIGOS 2020」の決勝が13日にSFAフットボールセンターで行われ、武南が4−1で大宮南を下し、大会連覇を飾って幕を閉じた。

序盤からボールを持って進める中で大宮南GK澤田遥斗の好守や守備陣のふんばりもあってなかなか得点に結びつけることができなかった武南だが、前半33分にコーナーキックを獲得するとMF大谷倖輝のキックにニアでMF水野将人がバックヘッドで合わせて先制。これで流れを引き寄せると、36分には相手のバックパスをカットしたFW吉澤和が冷静に決めて加点した。

後半も武南ペースでゲームは進行。6分にはエリア右から崩してMF河鰭蛍のグラウンダーのクロスからMF高橋奎亮が3試合連続となるゴールを奪って3−0とさらにリードを広げた。

大宮南は後半17分にMF阿部渉のスルーパスに抜け出した2年生10番のFW田上隼輝が一度はバランスを崩しながらも左足で決めて1点を返したが、武南は34分に再び河鰭のアシストから高橋が決めて勝負あり。4−1とした武南が昨年大会に続き、2年連続の優勝を果たした。

決勝では大量点の呼び水となる先制弾。武南の快速ドリブラー水野将人が大会を席巻

今大会を通して輝きを放っていたのが武南の14番、右サイドハーフの2年生・水野将人だ。

決勝戦では前半33分にコーナーキックを迎えると「その前に外してしまっていたので、ここで決めなきゃチャラにならないなと思って、絶対に決めようと思っていました」。持ち前の身体能力の高さを生かしてニアの高さ争いで競り勝つとバックヘッドは綺麗な放物線を描いてゴールに吸い込まれた。その後武南は3ゴールを追加。大量点の呼び水となるゴールとなった。

また、得点はもちろん、大会を通して相手ディフェンスを震え上がらせていたのがスピードを生かしたドリブル突破だ。12日の本庄第一戦では自陣でボールを持つとそのまま相手選手をぶっちぎって一気にゴール前まで駆け上がり2点目のきっかけを演出。決勝でもオフサイドとなったが、一瞬のスピードで相手を剥がしMF杉本駿吾に繋げた場面は持ち味を出したシーンだ。

50m6秒ジャストの俊足と初速の速さには自信がある。中学時代に在籍したGRAMADO NFCではサイドバックだった中で高校では一列前に。「(中学時代とは)変わりましたね。高校生になってから筋力がついて前よりはスピードがついたと思うんです。そこで自分の良いところがわかって、うまく使えるようになったと思います」。ドリブル中は「2枚目のディフェンスを見ながらドリブルすること、相手との間合いと相手のスピードを理解しておくこと」を意識しているという。憧れの選手はやはりウスマン・デンベレやキリアン・ムバッペといった快速派だ。「スピードの使い方がすごくうまい。そこはもっと参考にしていきたいと思います」。

新チームからトップに絡むようになった中で迎えた今年の新人戦では1回戦で前年度の選手権8強メンバーが多く残る昌平と対戦。相手の攻勢を受ける中で水野自身も前半は苦しんだが、後半に入りサイドを変えると積極的なドリブル突破でチームに前向きのエネルギーを創出。最終的には2−3で敗れたが、1年生(当時)SHはその中でも印象的なプレーを見せていた。

本人も「ちょっとは(自分の力を)出せた」とした一方で、「昌平相手にやれないとしょうがない。あの試合はスピードがあまり使えなかった。あのレベルになってもいつでも自分を出せるようにしたい」と反省も口に。このコロナ禍ではチームでの練習ができなかった中で自宅の庭を利用して足元を磨き、「テクニックはあまり自信がなかったんですけど、そこで少しは磨けたと思います」。速さをより際立たせるための技術。内野慎一郎監督も「足が速いからこそ、そこに工夫がついたらもう、ちょっと止めるのが難しい選手になれる」というように、速さというギフトに頼るのではなく、より大きな進化に向け、個人としてもアプローチしている。

「選手権は厳しい戦いになると思うんですけど、やっぱり自分を出しながらチームを勝たせるところは意識したい。自分が主体となってゴールに絡むプレーをたくさんしたいです」と水野。そこは2年生だからといって遠慮はない。天性のスピードにプラスαを加えていま以上に誰にも止められないプレーヤーとなり、武南を再び選手権で頂点に導くべくさらに成長する。

石黒登(取材・文)