平成30年度 関東高校サッカー大会 埼玉県予選 昌平 vs 成徳深谷

関東大会予選準々決勝。西武台会場第2試合は大会連覇を狙う昌平高校と新人戦覇者の成徳深谷高校が対戦。新人戦に続き再び同ラウンドで激突した両雄の一戦は、前半23分にFW樋口裕也の得点で先制した成徳深谷が2ー0で勝利。関東予選では2度目となる4強進出を決めた。

「相手の背後を突いてひっくり返す。それが自分たちのストロングポイントだと思うし、相手の嫌がっていることだと思うので、パワーを持ってそこを突いていくことを狙っていた」と主将の佐藤蒼太。新人戦ベスト8の再戦はそのストロングを貫いた成徳深谷に軍配が上がった。

序盤から1トップの戸澤雄飛が起点となりながら、前に圧力をかけていくと先制したのは成徳深谷。前半23分、右サイドでボールを持った戸澤がクロスを入れると「ファーで勝負しようと思った」と樋口。前回対戦時にもミドルシュートから先制ゴールを決めていた昌平キラーは、ディフェンスのクリアミスを拾うと、右足で豪快にニアサイドを撃ち抜いてスコアを動かす。

中盤以降は昌平がボールを保持する展開となったが、成徳深谷は持ち前の粘り強いディフェンスで決定機自体は作らせない。試合は新人戦と同じく1ー0と成徳深谷リードで折り返した。

後半は1点を追う昌平が攻勢に出る中で、17分にはMF須藤直輝のパスに今予選4得点のFW森田翔がフリーで抜け出して決定機を迎えたが、前に出た成徳深谷GK神尾龍汰が残した左足でストップしゴールは許さず。さらに21分にはMF原田虹輝のスルーパスから途中出場のFW大和海里が角度のないところから狙っていくも、シュートは枠を捉えることができない。

成徳深谷はアディショナルタイムにFW新井飛雅が自ら獲得したPKを右上に決めて追加点。2ー0として新人戦に続いて昌平を下し、関東予選では3年ぶりとなるベスト4を決めた。

「やっぱりどうしても嫌な時間はある。そこをどうしのげるかがテーマだったので、そういう意味では新人戦を経て逞しくなった部分」と成徳深谷・為谷洋介監督。後半は押し込まれる時間帯もあった中、成澤圭梧、堀井皓士郎を中心に守備陣がラインを高く設定し、コンパクトな陣形からハイプレスを仕掛けて相手に一方的な展開を許さなかったのは新人戦からの成長だ。

この春は鹿児島遠征で神村学園(鹿児島)、興国高校(大阪)といった全国レベルの強豪校とのゲームを経験。「県を獲れて高いレベルのチームとやれることも多くなった。そういうところで経験を積めたことが自信に繋がっていると思います」と佐藤。県No.1の次の目標となる「県の代表」まであと一歩。同じく守備に特徴を持つ浦和南高校との準決勝は激戦必須だ。

前線の守備で昌平撃破のキーマンに! FW戸澤「次は得点を狙っていきたい」

「今日の試合は相手の守備の要の関根浩平にいかに仕事をさせないか、引きずって後ろでキープできるかが大事だと思っていた」と為谷監督。その役目を務めたのが1トップの戸澤だ。

「少しでもダメージを与えるというか、嫌だなと思われるような守備、攻撃の仕方を意識していた」という2年生FWはフィジカルを活かして前線で身体を張って2列目のスペースを作ると、昌平の起点のひとつとなる関根のロングフィードに対してもしっかりと寄せて自由には蹴らせず。攻守において相手のキープレーヤー封じの大役をこなしチームの勝利に貢献した。

昌平撃破のキーマンだが、「チームとしては結果は残ったかもしれないけど、自分でといわれると得点の部分では何もできていない」と、ストライカーらしく得点へのこだわりを見せた。

憧れは2016年の選手権覇者で大会得点王となった青森山田高校FW鳴海彰人(現・仙台大)。「もうあの選手を見た時に「うわっすごいな」と思って。自分もあのようになりたいというか。決勝の前橋育英の時も胸トラップからのシュートもすごかった。憧れるというか尊敬しています」。

「守備もそうですし、今日は得点できなかった分、次は得点を狙っていきたいです」と戸澤。強靭なフィジカル、前線からの守備、そして抜群の得点力で青森山田を全国優勝に導いたストライカーのように、準決勝の浦和南戦では自らのゴールでチームを初の関東大会出場に導く。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 0-2 成徳深谷

0(前半)1
0(後半)1