平成30年度 関東高校サッカー大会 埼玉県予選 立教新座 vs 市立浦和
関東大会予選準々決勝。初の8強に挑んだ立教新座高校は前半8分にセットプレーからオウンゴールで先制すると、後半は市立浦和高校の猛攻にあったが、虎の子の1点を守りきり1ー0で勝利。再び歴史を塗り替えベスト4に進出した。28日の準決勝では浦和東高校と対戦する。
アクシデントを乗り越えての4強。立教新座主将のFW稲垣輝一は「重い1勝」と表現した。
前半8分にセットプレーから相手のオウンゴールを誘って先制した立教新座だが、21分に2回戦の大宮南戦でも堅守を支えたDF清水昭希が負傷退場、さらに26分には先制点に絡んだMF細田翔太も交代を余儀なくされてしまうなど、序盤で2人を欠くまさかの事態を強いられる。
対する市立浦和はしっかりとボールを回しながらDF深谷悠人のロングフィード、DF大森正心、FW島澤一杜の右サイドから攻撃の機会を伺う。アディショナルタイムには右サイドで島澤が粘ってクロスを入れると、FW戸苅健太のヘディングはキーパーの上を越えるもディフェンスがライン上でかき出してクリア。前半は立教新座の1点リードでハーフタイムを迎えた。
後半は市立浦和がさらに攻勢を強める中で、28分にはDF加藤尚己のクロスをMF吉田侃斗がプッシュするもゴールとはならず。終了間際のコーナーキックの場面にはGK徳野拓也も上がってラストワンプレーにかけたが、シュートはゴール上に外れた。前戦同様難しい展開となる中で最後まで集中力を切らさず守り抜いた立教新座が3戦連続の1ー0で準決勝進出を決めた。
前田和伸監督は「前半の残り20分、あそこを耐えられたこと、今日はそこに尽きると思います」と、アクシデントにも慌てずにしっかりと耐えた前半を勝敗を分けたポイントに挙げた。
清水の負傷交代という事態にも「自分がディフェンスラインのリーダー的な感じで声をかけようという意識が高まった」とDF竹内滉貴。緊急事態にサイドバックからセンターバックにポジションを変えた須田進太郎とはU-16時代にコンビを組んでいた仲。「違和感なく入れた」という須田は「格上の相手に対して受け身の態勢にならず、自分たちからも食らいついていく、食ってかかろうという気持ちがそのままプレーに出せたことが勝利に繋がった」と語った。
あとひとつ勝てば念願の関東本大会出場が決まる。竹内は「失うものは何もない。プレッシャーもあまりないので、気を張らずに勝利を目指していきたい」と初の準決勝にも自然体。須田は「絶対に勝ちたい。それだけ」と短い言葉の中に闘志を燃やし、キャプテンの稲垣は「浦和東は強いが、勝って立教新座という高校を埼玉県中や全国に知らしめたい」と意気込んだ。
「悪魔のフィールド」で勝利! 鬼門突破で大きな自信に
「このグラウンドは僕らの中で悪魔のフィールドと呼ばれていて…」(稲垣主将)。そう名前をつけたくなるほど、立教新座にとって西武台第2グラウンドはこれまで鬼門となってきた。
昨年のS2リーグ・対市立浦和戦では先制しながらオウンゴールから逆転負け。支部リーグ降格もこのグラウンドで味わった。その他、ここで骨折した選手もいるなど、メンバーにとっては何かあるグラウンド。この日も2人が負傷退場するなど嫌な流れが漂いかけたが、それを覆しての4強進出。鬼門突破は関東本戦出場を目指すチームにとって大きな自信となったはずだ。
石黒登(取材・文)
試合結果
立教新座 1-0 市立浦和
1(前半)0
0(後半)0