平成30年度 関東高校サッカー大会 埼玉県予選 浦和東 vs 立教新座

関東大会予選準決勝。第2試合は立教新座高校と浦和東高校が対戦。試合は互いに点の取り合いとなる中で第1試合に続き勝負の行方は延長戦に突入するが、延長後半8分のFW渡邉佑のゴールが決勝点となり立教新座が3ー2で勝利。現校名では初の関東本大会出場を決めた。

先制したのは立教新座。前半8分、深い位置でフリーキックを獲得すると、MF中川大樹のキックにFW登録ながらこの日はセンターバックの位置に入った南口周矢が頭で合わせる。一度はディフェンスに弾かれたが、こぼれたボールが再度南口の前に転がると、「枠に入ればいいなと思って打った」という技ありのループシュートがゴールに吸い込まれて先に試合を動かした。

一方、追いかける展開となった浦和東も出足の鋭いディフェンスと、奪ってからの速い攻撃でゴールへと迫りながら徐々に試合のペースを握っていく。すると同点ゴールは前半31分だった。左サイドのMF横田遥人が得意のドリブルでサイドを割って中央へカットイン。これはディフェンスに防がれたが、こぼれ球にFW小川翼が右足を振り抜いて試合を振り出しに戻す。

後半も中盤あたりから浦和東が攻勢を強める展開。それでもここを凌いだ立教新座はゲーム終盤に勝ち越しに成功する。35分、中川のフリーキックがゴール前に入ると後半途中出場のFW稲垣輝一がバックヘッドを突き刺して2ー1。「自分が出たら絶対に流れを変える」。今大会はスーパーサブとしての役割を与えられているエースが泥臭く決めて再びリードを奪った。

しかしこれでゲームは終わらない。後半アディショナルタイムに浦和東は、キャプテンのMF中野音央のクロスに後半からピッチに投入されたMF石塚陸人が執念のゴールで再び同点に持ち込む。ファイナル、そして関東切符の行方は2戦連続の延長戦に委ねられることとなった。

足をつらせる選手が続出する中で勝負が決したのは延長後半8分。DF小堀慶和のロングスローは相手DFに弾かれたが、これをMF新谷圭太が折り返すと「ボールがくると信じていた」という2年生FWの渡邉が左足で詰める。右を狙ったシュートはうまくミートしなかったというが、逆にアウト回転のかかったボールはうまく相手GKの逆をついてゴール左に決まった。

このリードを守り切った立教新座が55年ぶり、現校名では初となる関東大会出場切符を掴んだ。決勝ゴールを決め先輩らから手荒い祝福を受けた渡邉は「本当に嬉しかったですね。点を決めるっていうのがまず嬉しいのに、自分の点で関東を決められたというのが本当に。守備陣も頑張ってくれて、みんなで掴んだ切符だと思います」。前田和伸監督も「みんなの頑張りというか気持ちがひとつになった結果。そこしかないと思います」とチームの一体感を語った。

今大会では浦和西、大宮南、市立浦和、浦和東と強豪校を次々と撃破。「この大会は成長したものしかない。本当にアニメ化できるくらいのジャイアントキリングばっかり。こんなサッカー的には知られていない高校が関東大会で有名校をどんどん倒していって。本当にサッカー漫画ですよね」と主将の稲垣。確かに漫画のような話だ。もしこれが本当に漫画やアニメなら結末はどういった話が用意されているのか。第1章 関東予選激闘編・最終話、乞うご期待!

「本当に無意識に涙が出てきて…」主将・稲垣が仲間たちに捧げる感謝の1ゴール

「もう本当に嬉しすぎて自分でも本当に無意識に涙が出てきて…。嬉しいっていう言葉以外なにもないですね」。終了のホイッスルを聞いた瞬間溢れるものを抑えることができなかった。

もちろんいろいろな思いもあっただろう。今大会は直前の怪我で出遅れ、すぐに復帰したがその後もスーパーサブ的な役割での途中出場が続いた。悔しい想いもあったが「自分だったらこういう場面でどうするとかはずっと意識していました」。ベンチで静かに牙を研ぎ澄ました。

出番は後半14分。指揮官からは一言「お前が試合を決めてこい」。もう準備はできていた。

中学2年まで過ごした大阪では「個」を高める指導者と出会いジュニアユース年代で才能が開花。1年次には関西選抜に選ばれたこともありスタジアムの雰囲気にも慣れていた。キレのある動きで劣勢になりがちなチームを鼓舞すると試合を動かしたのは後半35分。「人生で初めてくらいの印象」というヘディングによるゴールで勝ち越すとスタンドに向かって駆け出した。

「あそこにはメンバー外になった選手がいる。悔しい想いをしている中でそれでも声を張り上げて応援してくれる彼らのためにも恩返しっていう形でゴールを決めたかったし、一緒に喜びを分かち合えたのがすごく嬉しかった」。イエローカードはもらったが後悔はないはずだ。

「優勝すればまた新たな一歩を踏み出せると思う。ここまできたら勝って埼玉県大会を優勝で終わらせられたらと思います」。時には熱く、時には冷静なキャプテンが紫軍団を牽引する。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和東 2-3 立教新座

1(前半)1
1(後半)1
0(延前)0
0(延後)1

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