平成30年度 関東高校サッカー大会 埼玉県予選 成徳深谷 vs 浦和南

関東大会予選準決勝の2試合が28日、浦和駒場スタジアムで行われた。第1試合は新人戦覇者の成徳深谷高校と浦和南高校が対戦。スコアレスのまま突入したPK戦を5−4で勝利した成徳深谷が新人戦に続いて決勝進出、そして目標としていた関東大会「県代表」の座をつかんだ。


共に球際の激しさや縦への早い攻撃を得意とするチーム同士の一戦。「やり合いになるだろうなと。引いたらやられる。そこはやりあえと伝えました」と成徳深谷・為谷洋介監督。序盤から裏の取り合いとなる中で、前半は相手の倍となるシュート6本を放った成徳深谷が押し込みながらゲームを進めたが、浦和南も粘り強く守ってゴールを許さずスコアレスで折り返す。

後半も成徳深谷が押し気味に試合を展開。17分には右コーナーキックからDF堀井皓士郎が頭で狙っていくも枠を捉えることはできず。37分には再びセットプレーからDF成澤圭梧がファーサイドでドンピシャのヘッドを合わせたが、コースが甘くシュートはキーパーに防がれた。

対する浦和南もFW狩集洸哉、FW岡田竜哉の抜け出しなどからチャンスを窺うが、成澤を中心とした成徳深谷の水色の壁に跳ね返されてなかなか決定機まで持っていくことができない。

試合は80分で決着がつかず20分の延長戦に。延長前半7分には成徳深谷主将のMF佐藤蒼太がインターセプトからドリブルで持ち込んで、シュートを狙ったがボールはゴール上に外れた。浦和南はPKに備えてGK正野友稀を投入。そしてついに勝負の行方はPK戦にもつれ込んだ。

互いに全員が決めての後攻・浦和南の5人目。止めれば関東大会という場面でゴールに立った成徳深谷GK神尾龍汰は、巧みな心理戦から得意コースの右に飛んで完璧にストップ。「自分が止めるっていう強い気持ちで挑めたことが勝因」と語る守護神は特大のガッツポーズを見せた。延長、PK戦に及ぶ激戦を制した成徳深谷が創部26年目で初の関東本大会出場を決めた。

駒場は2014年の選手権、2015年の関東大会予選と、過去2回先輩たちが涙を呑んできた舞台。「そういう意味でも歴史を変えようとやってきた」と佐藤。準決勝は同じ特徴を持つチーム同士、我慢と我慢のぶつかり合いのような展開となったが、その中で「自分たちの粘り強さと我慢強さっていうのはどこのチームとやっても負けないものだと認識することができました」。

決勝の相手は浦和西、大宮南、市立浦和、浦和東を倒し、勢いに乗る立教新座高校となったがやることは変わらない。粘り強く我慢強く、泥臭く、チャレンジ精神を持って2冠目に挑む。

「駆け引きがある選手」GK神尾がPKストップでチームを関東に導く

「まじで最高の気分でしたね」。殊勲のゴールキーパーはそう振り返りながら笑顔を見せた。

「駆け引きがあるやつかなと。最後までボールを見極めてストップする力はある選手」と、指揮官が評する成徳深谷の守護神はこの日のPK戦でも「一人一人立ち位置を変えたり、蹴る直前まで我慢したり」して駆け引き。最後のキッカーに対しても右側に蹴るように心理戦を仕掛けると、相手が蹴る瞬間までしっかりと耐えて、狙いどおり自分の得意コースで仕留めた。

1日の練習の最後にはトップチーム27人全員が1本ずつPKを蹴るのがチームの恒例。そういった中で「練習では結構止めたり、自信はありました。練習の成果が出ましたね」と神尾。

171cmとキーパーとしては小柄だが、足元の技術やキック、またチームのコンパクトな陣形を可能にする守備範囲の広さは大きな武器。準々決勝の昌平戦では相手FWに抜け出しを許した場面でも、しっかりと前に出て決定機を防いだ。今予選はまだ初戦で喫した1失点のみ。成澤、堀井のセンターバックコンビはもちろん、最後方から今季躍進のチームを支えている。

「またNo.1が取れるように、中1日しかないですけど、良い準備をして戦っていきたいと思います」。立教新座とのファイナルも失点0に抑えて、チームに2つ目のタイトルをもたらす。

石黒登(取材・文)

試合結果

成徳深谷 0(5PK4)0 浦和南

0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
5(PK)4