平成30年度 関東高校サッカー大会 埼玉県予選 浦和東 vs 春日部東

関東大会予選1回戦。新人戦4強の浦和東高校はDF上原龍のヘディングによる2ゴールなど、セットプレーからの3発を含む5ー1で春日部東高校を下した。浦和東は続く2回戦も埼玉平成高校を2ー1で下しベスト8に進出。21日の準々決勝では埼玉栄高校と激突する。

両校の対戦は新人戦、直後の練習試合に続き今年3度目。いずれも浦和東が2ー1で勝利していたが、どちらも競った展開が続いており、この試合もやはり簡単なものにはならなかった。

先制点は浦和東。前半9分、コーナーキックを獲得するとDF細沼友樹のキックに「キッカーが良かった。あとは合わせるだけだった」と上原がヘディングを叩き込んで試合を動かす。

早々のリードで流れに乗るかと思われた浦和東だが、公式戦の緊張感からか前半は動きが硬く「(戦い方も)一辺倒になってしまった」(平尾信之監督)。思うようにボールを動かすことができず、攻撃も裏を狙う形が多くなるなど、なかなかリズムに乗り切ることができない。

すると春日部東は前半終了間際の38分にこの日最初のシュートを得点に繋げた。カウンターからFW渋川龍之介が抜け出すと、最後は右足でゴール左にループ気味に決めて同点とした。

それでも浦和東はハーフタイムで修正すると追い風となった後半一気に攻勢に出る。7分、GK野本高嶺のキックをFW小川翼が競ると、「(競り合いは)翼が勝てる。そこはずっと狙っていました」とMF横田遥人。得点意識の高いサイドハーフは風に乗って守備の頭を越えたボールにいち早く反応すると、フリーでゴールに流し込んで待望の追加点をもたらした。

勢いに乗ったチームは後半8分に途中出場のDF青鹿真太郎のフリーキックに上原が再び頭で合わせてこの日2点目を記録。24分にはセットプレーのこぼれ球をMF大越來が押し込んで加点する。さらにその2分後には2月の新人戦で「10番獲り」を公言し、それを有言実行してみせたエースの小川が青鹿の左クロスにヘディングで合わせて5ー1とし、試合を決めた。

前半は苦しんだ中で後半は一気に4得点。「ハーフタイムにしっかりと修正できたのでそこは褒めて挙げたい」と指揮官。主将のMF中野音央は「外からだけじゃなくて中でも自分たちでコーチングしあって改善できるように」と取り組んでいるピッチ内での解決を課題に挙げた。

この日3得点を生んだセットプレーはこの冬から積み上げてきた部分だ。2ゴールの上原や小川といった中で決められるタレントはもちろん、先制点の起点となった細沼や2アシストの青鹿、大越のゴールを呼び込んだDF志村直樹らキッカーもそろう。2回戦の埼玉平成戦でも先制点は直接フリーキックから。止まっている状態からでもゴールを奪えるのは大きな強みだ。

準決勝の埼玉栄戦ではセットプレーはもちろんだが、「一番点を取っているのがディフェンスラインの上原龍なので全然納得いっていない。チームの絶対的な存在になりたいと思っているのでもっと点にはこだわりたい」と話していた横田ら、アタッカー陣の奮起にも期待したい。

新10番の小川「浦東としてのベースを改めて考えた」

有言実行の10番に小川は「正直10番着てめっちゃ嬉しいです。超嬉しい」と笑顔を見せた。

新人戦準決勝の成徳深谷戦は一瞬の隙から敗戦。「浦東としてのベースを改めて考えて。そのベースっていうのは泥臭くプレーしたり、声をかけたり、球際のところとか、そういう浦東らしさをしっかりと出せるようにプレーすることにこだわってきました」。この日も前線で起点となりながら、時にはゴールに向けて泥臭く、時には味方を鼓舞してチームを牽引した。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和東 5-1 春日部東

1(前半)1
4(後半)0