平成30年度 関東高校サッカー大会 埼玉県予選 市立浦和 vs 西武台

14日、県内各地で関東大会予選が開幕した。西武台高校第2グラウンドでも3試合が行われ、第1試合では浦和カップ3位の市立浦和高校が新人戦準優勝の西武台高校を2−1で下した。

序盤から互いに前へと出ていく中で先にスコアを動かしたのは市立浦和。前半6分にFW鹿屋覚のパスをエリア手前で受けた左サイドの戸苅健太はワンステップから右足を一閃。「いつも狙っている形」というロングシュートからニアサイド上を抜いてゴールネットに突き刺した。

けがで新人戦はメンバー外だったがこの春休みに戦線復帰。まだコンディションは万全ではないというものの、「カットインからのシュートや中のFWたちと関係を作ってゴールまでいくことが特徴」と、ゴールへのこだわりを見せるアタッカーの一撃で、市立浦和が早々に先制する。

1点を追う西武台は前半21分にFW関口崇太が守備網の裏に抜け出してチャンスを迎えるが、これは市立浦和GK高梨恭が前に出て身体でセーブ。こぼれ球をさらにMF大塚悠平が狙っていったが、素早く体勢を取り直した高梨が今度は横っ飛びで弾き出してゴールは許さない。

逆にここをしのいだ市立浦和は前半24分にサインプレーからDF深谷悠人のコーナーキックに、右サイドでスタメンしたFW島澤一杜がドンピシャのヘディングで合わせて2−0とした。

後半は西武台が攻勢を強める中、2分には左からのクロスが流れたボールにMF若谷拓海がダイレクトでシュートを放つもGK高梨が三度シュートブロック。その後も右サイドの若谷を起点に次々と攻撃を展開していくが、市立浦和は「読みが当たる場面が多かったので相手よりも先に反応できた」という深谷が中央で跳ね返し続け、相手にシュートチャンスを作らせない。

西武台は後半35分にDF小室佳祐のクロスをニアでMF齋藤紀樹がすらして関口が決めたが、あと1点及ばず。前半のリードを守り切った市立浦和が2回戦へと駒を進めた。勝利が決まった瞬間、市立浦和の選手たちは重圧から解き放たれたようにそれぞれが感情をあふれさせた。

すべてをかけていたからこそ気持ちがあふれた。「言い方は良くないかもしれないですけど、誰も次の試合のことを考えていなかった」と深谷。昨年は関東予選、総体予選、選手権予選で1回戦敗退、今冬の新人戦では支部準決勝で浦和南に敗れ、県大会出場を逃した。苦い経験を晴らし、前に進んでいくためにもこの一戦は市立浦和にとって大きな意味を持つ試合だった。

赴任20年目を迎えた池田一義監督は「成果というより気持ち。本当に勝つんだという強い気持ちをみんなが持っていた。西武台が相手ということで、それに向けてみんなが気持ちを高めてこられたので本当に良かったと思います」と1年ぶりの県公式戦勝利に安堵の表情を浮かべた。

もちろんここは通過点。ゲームキャプテンを務めるFW吉田侃斗は「自分たちが狙っているのは今日の1勝だけじゃなくて、もっと上のレベルにある。この勝利に満足せずに一試合一試合目の前の試合をしっかりと勝ち上がって県の1位になるところまでたどり着きたいです」とした。2013年の選手権予選以来の県大会制覇へ。名門が復活に向けて確かな一歩を踏み出した。

好守連発のGK高梨 「背番号1」とポジション獲りに意欲!

終盤に1点は失ったものの、西武台の強力攻撃陣を前に最少失点に抑えた。好セーブ連発でゴールに鍵をかけた高梨は「チャンスをもらえた中で結果を残せたことは自信になりました」。

新人戦では背番号1をつけ、ゴールマウスを守ったが、「Sリーグで17番になって。1番でも出られていなかったのは悔しかったんですけど、番号も下げられて本当に悔しかった。関東大会で優勝してポジションを取りたいと思います」と徳野拓也との守護神争いに意欲を見せる。

武器はセービング。「打たれる時の身体の準備を意識して、すぐに反応できるように身体を常にニュートラルにしておくことを考えているので、セービングでは徳さんに負けない自信はあります」。この日のパフォーマンスは定位置確保に向け、大きなアピールとなったはずだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

市立浦和 2-1 西武台

2(前半)0
0(後半)1