伝統のサイドアタックが炸裂! 経験を糧に大きく成長する武南が8年ぶりの全国へあとひとつ

高校総体県予選・準決勝。関東予選準Vの武南が浦和東を下し、決勝を決めた。

伝統のダイレクトプレーから切れのあるサイドアタックが炸裂した。武南・内野慎一郎監督は「最初プレッシャーももうちょっときついかなと思ったんですけど、そこで自分たちが保持できる時間があった。後半20分過ぎくらいまでは緊張しながらも良い時間というか、自分たちの持ち味は出せたかなと思う」と手応え。前日の準々決勝・浦和南戦では雨でスリッピーだったこともあり、出せなかった強気のパスも出るなど、特に前半は持ち味を存分に発揮した。

序盤から両サイドのDF加藤天尋(2年)、DF重信有佑(2年)が高い位置を取って攻め込んだ武南は前半9分、加藤が満船プレスをかけてボールを奪い、マイナスのクロスをFW水野将人(3年)が決めて先制した。直後、浦和東はFW豊田春斗(3年)のアシストからMF三浦祥(3年)が沈めて同点としたが、「やっぱり身体も重かったし、前半はアグレッシブに行けなかった」と平尾信之監督が語ったように西武台戦の疲労からか出足が遅く流れを取り戻すには至らない。

すると武南は前半34分、MF森田颯(2年)の斜めのスルーパスに抜け出た重信が右足で冷静に流し込んで勝ち越し。さらにその2分後には今度は右サイドで重信が起点となり、水野が自慢のスピードで抉ってクロス。これにFW櫻井敬太(3年)がワンタッチで合わせて3-1とした。

後半は浦和東が今年のチームの特徴である攻撃の形を発揮。連続してパスを繋ぎながらギャップを突いてスピードのある豊田にボールを配球していく。25分には縦パスに豊田が抜け出したが、ここは出足鋭く前に飛び出た武南GK牧之瀬拓人(2年)がセーブ。また27分には三浦のフリーキックが枠を捉えたが、ここも守護神・牧之瀬が立ちはだかった。後半は相手を上回る7本のシュートを打ったが、ネットを揺らすことは出来ず。平尾監督は「後半は一歩出足が速くなってうちが押し込む回数がかなり増えたんですけど、決める力がなかった」と唇を噛んだ。

終盤は疲れもあり浦和東の攻撃を許した武南だが、決定的な場面を2本凌いだ牧之瀬を中心に最後まで粘りを見せて3-1で勝利。2013年以来となる総体予選制覇に向けあと1勝と迫った。

チームは経験を糧に大きく成長している。内野監督は「関東で桐光に負けて、本当に選手たちもいろいろ学んだことがあった。チームの経験という意味では、そういう経験を生かしながらのシステムだったり、練習方法だったりというのもこの期間でうまく準備してきた。昨日は雨の中ですごく戦術的にも苦しめられましたけど、今日は自分たちのサッカーを思い切ってやろうよ、自分たちのサッカーを表現していこうという形では今日はできたかなとは思います」と振り返る。

今年のチームの攻撃をリードする水野は「桐光戦で上の力というのが見えて、自分たちの甘さだったり、いろいろなものが見えてきたので、日頃の練習の強度はすごい上がったかなと思います」。そしてその中で「レベルの高い試合をやっていくうちに自分たちのスピード感というのもすごく上がってきた」と日々の練習からこれまで以上に成長できているという実感もある。

「だからこそどうしてももうひとつ勝ちたい」(内野監督)。チームとしてより大きく成長していくために全国での経験値は必須だ。水野は「絶対に勝って全国に行く!」と力を込めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 3-1 浦和東
3(前半)1
0(後半)0