これで4試合連続の1-0。“ウノゼロの正智”が優勝候補・昌平を封殺し初優勝を目指す決勝へ!

高校総体県予選・準決勝。昌平と正智深谷のライバル対決は1-0で正智深谷が決勝を決めた。

これで4試合連続のウノゼロゲーム。正智深谷・小島時和監督は「1回戦から戦っているように、点を取られないでしぶとく、しぶとくやって、そのリズムがゲームに出てくればうちのパターンかなと思っていた。やっぱり勝っていくことによって、スタッフの言っている守備の重要性というのがよくわかってきてそれを全うしていたと思います」と選手たちの成長に目を細めていた。

「やっぱりいろいろなゲームを見ていると人と人の間が広がっているチームにはタンタンターンと止められないような攻撃が来るが、昨日のゲーム(立教新座戦)のようにコンパクトにされるとまだまだチャンスはあるなというのはあった」(監督)。正智深谷は2016年の選手権予選(1-0〇)や2018年のインハイ(3-0〇)のようにコンパクトな陣形を保って昌平の強力アタックを封じに。そして最後のところでは“チームの核”DF森下巧(3年)、DF小屋結世(2年)のCBコンビが空中戦や対人の強さを見せるなど、15分まで昌平のシュートを0本に抑える。

一方、昌平も相手の堅陣を破るべくMF大山済(3年)やMF篠田翼(2年)が個人の仕掛けでゴールにチャレンジ。しかし正智深谷も粘り強い守りや安定感のあるGK小櫃政儀(3年)がハイボールを的確に処理するなど、決定的なシーンは作らせず。そのまま0-0で前半を終えた。

すると後半に入り正智深谷がチャンスを作る。4分、FW春山朔也(2年)のクロスから高速反転したFW山口陽生(3年)のシュートはGK西村遥己(3年)のビッグセーブに防がれたが、10分についに均衡を破る。ゴール前の混戦をFW渡辺友斗(3年)が右足を一閃して貴重な先制点をゲット。渡辺は初戦の成徳深谷戦以降出場はなかったが、ここ一番の起用に結果で応えた。

攻め込みながらも先制を許した昌平は直後、怪我で準々決勝から途中出場となっていたU-17日本代表候補MF荒井悠汰(3年)がピッチへ。その中で荒井や3回戦の川口北戦でハットトリックを達成したFW井出蓮(3年)がゴールに迫るなど猛攻を仕掛けたが、「自分たちはみんな根性があって、戦える選手が多い」とゲームキャプテンを務めた森下がいうように、正智深谷は厳しいコンディションの中でも選手全員がハードワークを怠らずひとりが外されても矢継ぎ早に2枚目、3枚目がカバーに入ってゴールを死守。そしてついに優勝候補・昌平撃破を成し遂げた。

今大会は試合を追うごとに特に守備面が大きく成長。「このギリギリのところでしっかり守るという部分、ヘディングの競り合いもそうだし、シュートに対しても適当に飛び込まなくなったし、その間合いというのはすごく今回うまくいったんじゃないですか」と小島監督も手応えを語る。

また「こちらの言いたいことを良いタイミングで言ってくれた金森(陽佑)コーチも含めスタッフも連携出来ていたし、子供たちも連携出来ていたし、僕らが掲げる『一致団結』という意味ではスタンドも一緒になって戦ってくれていたし、本当に一致団結していたなというゲーム。だからこそ全国大会に連れて行って、こういう粘りのある埼玉サッカーを見せたいなと思います」と先日のキルギス戦で日本代表2戦目にしてハットトリックを飾ったFWオナイウ阿道(横浜F・マリノス)を擁し、4強入りした2013年以来となるインターハイでの全国に意欲を燃やした。

これまでインハイでの全国は2度あるが、いずれも第2代表(2019年から埼玉は1枠に)としての出場であり優勝すれば初優勝となる。指揮官は「やっぱり大物を倒してもここで負けたら何もならない。今日の勝利が本当に生きるように、子供たちも喜んでいるだろうけども、やっぱり水曜日勝ってだと思う」と決勝に向けて意気込み。森下ゲーム主将は「次も本当に難しいゲームになると思うんですけど、やっぱり自分たちの強みである根性であったり、気持ちで負けないというところを発揮して無失点で勝てたら」と5試合連続の完封、そして無失点Vを見据えた。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 0-1 正智深谷
0(前半)0
0(後半)1