関東高校サッカー大会 埼玉予選1回戦 市立浦和 vs 正智深谷
関東高校サッカー大会埼玉県予選が13日に県内各地で開幕した。新人大会準優勝の正智深谷高校は市立浦和高校と対戦し、終了間際のDF山田裕翔のヘディング弾で3ー2と競り勝った。
1回戦屈指の好カードとなった一戦。立ち上がりから高い位置からのプレスで市立浦和にビルドアップの時間を与えなかった正智深谷は前半7分、FW大橋力也が前で奪ってドリブルから果敢にシュート。こぼれ球をFW金田奎人が繋いで、最後はMF佐々木達也が決めて先制した。
さらに前半33分には大橋の左コーナーキックを佐々木がドンピシャのヘディングで合わせてこの日2点目をマーク。守備の場面でもサイドや裏のスペースを狙ってくる相手に対し、ディフェンスラインを中心にきっちりと対応して前半はチャンスらしいチャンスは作らせなかった。
後半もハットトリックを狙う佐々木やMF波多野晟愛らが開始から押し込んだ正智深谷だが、市立浦和は10分、エリア中央でFW花田大樹の横パスを受けたMF知久洋介が右足で深く切り返してディフェンスを振り切ると、そのまま左足で冷静にゴールに流し込んで1点を返した。
これを機に市立浦和は一気に反撃を開始。両軍同時に足を攣らせるなどハードな戦いとなる中で再びスコアが動いたのは後半38分だった。市立浦和はエリア内で相手のハンドを誘いPKを獲得すると、MF大森正心がキーパーの逆をついてゴール右に流し込みついに同点に追いつく。
このまま延長戦にもつれ込むかと思われたが、正智深谷は後半44分にMF津川勇作のコーナーキックにファーで競り勝った山田がヘディングシュート。ふわりと上がったボールはキーパーの逆をついてネットに吸い込まれ、直後イレブンの歓喜とともに終了のホイッスルが鳴った。
劇的決勝点も立て直せなかったと反省 「キャプテンとして」の役割も再確認 山田裕翔
劇的勝利を収めた正智深谷だが、失点後は市立浦和に押し込まれる苦しい展開。失点に絡んだ山田は「今日のゲームは自分が壊したと言っていい。自分にすべて責任がある」と反省した。
2ー0で迎えた後半10分、ゴール前の1対1で相手の切り返しに対し「少し熱くなってしまったというか、取り返さなきゃというところで力が入ってしまった」ところを入れ替わられて失点。この1点を機にペースを握られると、38分にはハンドによるPKから同点弾を奪われた。
「失点後のゲーム運びというところで消極的にならないようにと思っていたんですけど、どうしても相手に攻められてナーバスになってしまって、そのままずるずると引きずってしまった感じがあった。キャプテンとしてゲームを建て直さなくちゃいけなかった試合でした」。
それだけに「死ぬ気で決めにいった」という決勝点の場面では、津川のコーナーキックにジャンプ一番ヘディングで合わせて仲間たちと歓喜の瞬間を味わったが、終了後は天を仰ぎながら「やっぱり嬉しさというよりも、本当に情けなさが出た試合だと思います」と振り返った。
試合後は指揮官のもとに山田を含む中心選手が集められた。「そんなに怒られたりしたことはなかったんですけど、結構強く言われて、まだまだ足りていないことに気づいた。キャプテンとしてどう試合を運ぶか、キャプテンとしてやるべきことというのは強く指摘されました」。
幸いなことにこれは1回戦。翌日の東農大三戦では6ー0とクリーンシートに抑えてしっかりと切り替えたようだ。「優勝はもちろん大きな目標ですけど、そのためにどうすべきかというのをもう1回細かいことやピッチ内外のところで確認していきたいと思います」と語った山田。「キャプテンとして」の役割を再確認し、2年ぶりのタイトルに向けチームを牽引する。
石黒登(取材・文)
試合結果
市立浦和 2-3 正智深谷
2(前半)0
1(後半)2