武南が韮崎との古豪対決を制し初戦を突破 10番MF松原史季が技ありFK含む2ゴール、途中出場のMF齋藤瑛斗が決勝弾

関東高校サッカー大会の1回戦が5月28日に神奈川県で開幕し、各県2位のチームで構成されるBグループで武南は韮崎(山梨)と対戦。延長戦の末に3-2で勝利し、初戦突破を飾った。

武南は前半、山田詩太(3年)と森田颯(3年)のダブルボランチがボールを引き出し、トップ下のU-16日本代表候補MF松原史季(2年)が多く展開に関わりながら攻撃を仕掛けていく。

MF櫻井敬太(3年)も豊富な運動量を見せ、FW杉沢旭浩(2年)も身体の強さを生かしてゴールへ迫る。すると連続した攻撃から前半32分、松原の仕掛けがPKを呼び込む。これを自ら決めて先制した。さらに武南はその5分後、再び松原が相手のクリアボールの回収から今後はゴール前でFKを獲得。右足から蹴り出されたボールはスピード、コースともに完璧な軌道を描く。相手の長身GKも反応したが、そのさらに上をいくビューティフルゴールで追加点を奪った。

良い形で前半を終えたが、後半は今後の連戦や開幕を控えたインターハイ予選に向けた底上げの面も含めメンバーを変えていく中で、相手の縦の速さや高さを生かしたセットプレーで2失点。内野慎一郎監督は「勝ちにこだわって、点を取りに来るチームに対して、一番苦手としている相手がここずっと続いている。そこを割り切って、どういうふうに勝つか。そこはすごく悩んでいるところ。かといって自分たちのスタイルを変えるつもりは絶対にないので、どういうふうに動かしたらもっと機能的にゲームが運べるかというのをいま本当に追求している」と話す。

嫌な流れもあったが、これを断ち切ったのがサブ組だ。延長前半7分、中盤で受けたボランチの齋藤瑛斗(2年)がドリブルで前進。まだ距離はあったが、右足を振り抜くとボールはゴールに吸い込まれ決勝弾となった。内野監督体制になってからは2019年、2021年(2020年は延期)と連続して関東大会に出場していたものの、いずれも初戦敗退。3度目の正直での勝利となった。

また、韮崎といえば1981年の第60,回全国高校サッカー選手権大会決勝であたり、2-0で勝利して武南が初の全国制覇を達成した時の相手でもある。内野監督は「先輩の方々からもすごい電話をいただいて。意識はしていないつもりですけど、意外と力が入っちゃうところはありますよね。それはやっぱり武南の伝統というか、負けたくないというのはあるので」と明かした。

「2点取って2点返されて、ここで練習試合だったら延長がなくて2-2で終わっているというのはよくあることで、やっぱりそこが武南の今年の勝ちきれないところというか、しっかり前後半で勝ちきれないというのは武南のいまの弱みだと思っている。入りとかは良くなったんですけど、やっぱり後半からというのは自分たちが明日意識していかなくちゃいけないことですし、そうやって集中力を最後までもたせるというのは明日もっと締めていかなくちゃいけない。今日の結果に満足しないで明日もしっかり勝って、その次も勝って一番上までいきたいと思います」と松原。準決勝は強豪・前橋育英が相手だが、しっかりと勝ちきって決勝進出を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

韮崎 2-3 武南