埼玉国際サッカーフェスティバル U-18女子埼玉県選抜 vs 醒吾高校

埼玉国際サッカーフェスティバル・最終日。U-18女子埼玉県選抜は醒吾高校(台湾)と対戦し、3ー0で勝利。女子埼玉選抜は2勝1敗の勝ち点「6」とし、全体の2位で大会を終えた。


序盤からゲームを支配した埼玉選抜は前半10分、FW加藤心和のスルーパスに走り込んだMF渡邉莉沙子が右足で冷静にゲットして花咲徳栄コンビで先制。21分にはセットプレーの2次攻撃から渡邉のクロスをFW宍倉あおい(浦和一女)がバックヘッドで合わせて追加点とした。

後半11分にはFW並木華音(川口市立)のクロスをFW岡田和奏(山村学園)がスルーして渡邉が狙ったが、これは惜しくも枠外に。後半は相手が引いたこともあり得点には繋がらなかったが、その後も加藤の積極ミドルや2、3人が連動しての崩しで、最後まで圧倒し2ー0で勝利。大会3連覇には一歩及ばずも、2勝1敗の勝ち点「6」とし、準優勝でフィニッシュした。

大会を終え福島巖監督は「関東トレセン大会も優勝決定戦までいって、非常に勢いのあるチームだったのでそれを継続できたのは良かった。全体を通じて前線からのプレッシングがうまく嵌っていたんですけど、レッズ戦のように相手にそれをかいくぐるだけの技術があった時にどうするか。考えながらできる選手がもっと育成されていくといいのかなと思う」と振り返った。

今年で第3回を迎える今大会。その芽も徐々に息吹きつつある。福島監督は昨年「この年代で海外の選手とできるのは非常に貴重な経験。ここで経験した選手たちが2023年の女子ワールドカップでは23歳、2027年の時には27歳になる。その時に活躍できれば」と未来のなでしこジャパンの可能性を秘める原石たちの成長に期待していたが、第1回大会のMVPで昨年も10番を背負い2連覇に貢献したMF大沼歩加(花咲徳栄高→日大)が先日U-19日本代表に選出。「JENESYS2018日ASEAN U-19女子サッカー交流大会」では昨年の国際ユースで対戦したタイ代表との再戦もあったが、試合では当時の経験も生かされた部分があったかもしれない。

この年代でのトレセン活動は今大会でひとまず終了となるが、ここを経験した選手たちがそれぞれの感じたことと向き合い今後どういった成長曲線を描いていくのか。いまから楽しみだ。

存在感放った徳栄コンビ 主将の渡邉「今回出せなかった部分は徳栄で出せるように」

この試合、前線で存在感を放ったのがMF渡邉莉沙子、FW加藤心和の花咲徳栄コンビだ。

前半8分、中盤でボールを持った加藤は渡邉の動き出しを見逃さずにスルーパス。これを渡邉が右足で突き刺して先制した。その後も前半のうちに渡邉が2点目をアシスト。後半は得点こそなかったが、加藤がシュート5本、渡邉が4本を放つなど、中心となって攻撃を牽引した。

大会を通じて1ゴール、2アシストを記録し優秀選手となった渡邉は「何を言っているかわからない中で相手のプレーを見ながら攻め方を変えたりする部分で難しさも感じたんですけど通用する部分も多くあった。フィジカルの面では日本の方が勝る部分はあったかなと思う」。普段とは違う左での起用も「中に持ち込んでチャンスを作る狙いは出せた」と手応えを語った。

初日の第2試合では古巣の浦和ユースと対戦。0ー1と耐えた中で足の止まった後半に連続3失点。終了間際に自らが起点となり1点を返したが、「やっぱりうまいなと。力の差を感じる試合でした」と振り返った。「(今回の選抜で)思っていることを伝える大切さはすごく感じた。それは徳栄でも絶対になくてはならない部分。今回出せなかった部分、普段出せなくてここで出せたものもあるので自チームに戻ってチームメイトとしっかりと共有したい」とした。

また加藤もすべての試合で得点に絡むなど大きなポイントに。昨年は身体を張った泥臭いプレーが多かった印象だったが、この日は自陣でボールを受けてからドリブルや状況を見て中盤に落ちてのチャンスメイク、積極的なシュートにポストワークと幅広い引き出しを見せ、「徳栄以上に積極的にいこうと思って仕掛けてみました。そしたら抜けました(笑)」と明かした。

それでも「今日は100点中65点くらい。やっぱりフォワードの仕事の得点というところが取れなかったのでそこが一番課題です」と反省。「選手権は3年生に助けてもらってばかりだった。今年はチームで得点王になりたいと思っているので毎日練習してもっと成長した姿を見せたい」とし、最高学年となる今年はゴールゲッターとしてチームを牽引していくことを誓った。

バックヘッドで追加点の宍倉 国際経験、仲間たちに伝える

2トップの一角として出場した宍倉は1ー0で迎えた前半21分に渡邉のクロスにうまく走り込んでバックヘッドで合わせて追加点。「あまりヘディングで決めることがなくて高校に入ってからは初めて。ゴールした瞬間は見えなかったんですけど、入って良かったです」と喜んだ。

今大会は前半のみの出場だったものの、この試合を含め3戦すべてにスタメン出場。「日本人ではないタイミングで足が出てきたり、昨日のタイ戦ではそこで伸びてくるかみたいな感じだった。いつもやっているのと全然違うなと感じました」と、改めて今回の経験を振り返った。

これでこのチームでの活動は終了。宍倉も所属する浦和一女高校での戦いに戻る。「自分のチームは県でも下の方で、チームに帰ると本当に初心者ばかり。(トレセンでは)ただのチームの一員なんですけど、チームでは中心なのでそういったところで経験を伝えていきたい」と宍倉。海外選手とのマッチアップで感じた部分や、国際大会で戦った経験を仲間たちに伝える。

石黒登(取材・文)

試合結果

埼玉県選抜 2-0 醒吾高校

大会結果

優勝:浦和レッズレディースユース
準優勝:埼玉県選抜
3位:醒吾高等学校(台湾)
4位:タイ王国U-18女子代表(タイ)

優秀選手
リン・シン・フエイ(醒吾高)

最優秀選手
FW丹野凛凛香(浦和ユース)