「危ない場面で失点しない」本庄第一は守備を意識し無失点V! 決勝は花咲徳栄の猛攻を凌ぐ

守備を意識し、無失点V―。女子学校総合体育大会の決勝が14日に駒場スタジアムで行われ、本庄第一が立ち上がりに奪った得点を守り切って1-0で花咲徳栄を下し、6年ぶり14度目の優勝を飾った。本庄第一は28日開幕の関東大会1回戦で鹿島学園(茨城県)と対戦する。

「去年は結構大量失点が多かった。今年は始まる前から守備のところをちゃんと安定させないと、というところでやってきた」と本庄第一・川合拓郎監督はいう。今大会は本来トップ下やFWを務めることの多い松野尾沙斗(3年)を一列下げてボランチとして起用。また、右SBにはこれまでCBを本職としてきた野崎梨央(3年)が入るなど、“守備的な配置”で決勝も臨んだ。

試合は早々に思わぬ形で動く。前半2分、本庄第一は浮きパスからのこぼれ球がMF小池樹里(1年)のもとへ。「キーパーも前に出ていたので打てば入ると思った。あまり浮かすとかは考えず打った」。3回戦の埼玉栄戦でも2得点を挙げていた1年生MFの右足シュートで先制した。

しかし、その後は花咲徳栄が押し込む展開に。2019年以来の奪還を狙うチームは村田叶海、山本莉音の1年生ボランチコンビのところで跳ね返しながら前へ。そこからクロスボールやセットプレーでゴールに迫る。前半24分、コーナーキックのこぼれ球にFW塩崎らら(3年)のパワフルなシュートがクロスバーを強襲。その4分後には再び塩崎のシュートがポストを叩く。

後半も花咲徳栄がボールを持って進める時間が長かったが、この日の本庄第一は粘り強かった。「前線から行くか、後ろで引いて守るのか、そこを全体でしっかり統一する」(越もえ香主将)ことを徹底。中盤では松野尾、丹治希ノ花(3年)の小柄なボランチコンビは大崩れすることなく、石島美咲(3年)、濱田梨沙(3年)のCB2枚もしっかりと最後の部分で身体を寄せた。

得点が欲しい花咲徳栄は準決勝で目の上をカットし、決勝はベンチスタートとなっていた10番のMF大矢静佳(3年)が後半15分からピッチへ。後半は塩崎をサイドに移し、前半はあまり見られなかった仕掛けや抉るようなプレーも増えたが、相手の固い守備を崩すことが出来ず。最後まで集中力を切らさなかった本庄第一が1-0で競り勝ち、今年最初のタイトルを掲げた。

例年攻撃的なチームに仕上げてくる本庄第一だが、今年はまずは守備を意識。「ずっと言っていたのは「危ない場面で失点しないようにしようぜ」と。いままでちょっと危ないなと思ったら失点していた。最後の球際の寄せ方とか、コースの切り方というのをしっかりやって、ポストに2回助けられましたけど、選手から見ればちゃんとコースが切れていたかなと」と川合監督は話す。

昨年も花咲徳栄とはベスト8で対戦し、先制したもののその後5点を奪われて敗れていたが、この日はしっかりと零封。今大会は全5試合でクリーンシートとこだわってきた守備が光った。

「攻撃に関しては課題は大量に」(監督)出たが、まずはコンセプトとしてきた守備を発揮し、好スタート。関東ではこの粘り強さをベースに、少ないチャンスをものにして勝利を目指す。

攻撃のキーマンである10番MF眞島紗衣(3年)は「警戒されている中でも「やっぱり対応出来ない」と思われるような選手にならないと上には行けないと思うので、そこをもっとやっていきたい」と話し、関東大会に向けては「鹿島学園は一昨年自分たちが1年生の時に関東大会でやって負けている相手なので、2年越しではないですけど、リベンジ出来れば」と闘志を燃やした。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 0-1 本庄第一
0(前半)1
0(後半)0