昌平は過去最高の3位も悔しさ滲ませる 次こそは「自分たちのサッカー」で初のタイトルを

女子学校総体・3位決定戦。昌平と浦和西の一戦は3-0で昌平が勝利し、3位で大会を終えた。

過去最高の3位フィニッシュ。だが、同時に悔しさも残る大会に。昌平・芳賀大祐監督は時折言葉を詰まらせながらも「やっぱり準決勝の悔しさが残っていたので、選手も僕も、あのゲームからどう気持ちを立て直すかというので、すごく長い1週間だったんですけど、3年生を中心によく立て直して、良いゲームをしてくれたなというようにいまは率直に思います」と振り返った。

立ち上がりから昌平は各々が高い個の能力を発揮しつつ前へ。その中で前半12分にMF風間星(2年)が、24分には10番FW新垣杏奈(2年)のドリブル突破から直前にもゴールに迫ったMF佐藤李那(1年)が、セットプレーからMF伊藤万桜(2年)が次々とチャンスを作った。

一方、浦和西も昌平の猛攻を受けながらも、準々決勝で王者・南稜を下した粘り強い守りを見せる。脅威となる縦のボールを警戒しつつ、ファーストがしっかりと寄せて、セカンドで素早く複数枚で囲い込んでボールを奪い取る。そして最後の部分ではGK細矢幸音(3年)が奮闘。前半は少なくとも4度の決定的なシーンがあったが、そのたびに好反応を見せてゴールを死守した。

昌平は前半7本のシュートを放ちながらもゴールとはならず。「やっぱり始めの時点で自分たちのプレーが出来ていなかった。(HTで)ベンチメンバーも含めて、いままでの自分たちと何が違ったのかを聞き出して後半そこを修正出来た」(新垣)。HTで外からの視点を入れつつ、前半の課題を修正。後半は距離感をコントロールしつつ数的優位を多く作り、前半以上に押し込む。

すると後半5分についに浦和西の堅守を破る。連携して相手をサイドに広げつつ、空いたスペースに入り込んだ新垣が混戦の中、ダブルタッチで相手DFを外し、冷静に右足で流し込んで先制点を奪う。これで勢いに乗ると16分には佐藤が豪快な右足ミドルを突き刺して加点。32分にはFW金澤道(1年)が右サイドを破り、クロスに飛び込んだ新垣がこの日自身2ゴール目となるチーム3点目を決めた。3-0で勝利した昌平が過去最高成績の3位で大会を締めくくった。

元日本代表MF香川真司らを育てた芳賀監督が2020年に就任し、強化3年目。「個の育成」を掲げ、昨年の選手権予選8強に続き、3位と躍進を見押せているが、今大会はそれ以上に悔いが。

準決勝の花咲徳栄戦、昌平は新垣の2ゴールで後半の引水の時点で2-0とリードし初の決勝進出に手をかけていたが、そこからまさかの4失点で敗戦。新垣は「まだセーフティリードじゃないのに油断というのもあったと思うし、攻め疲れで守備が出来ていなくて、自分たちのフォーメーションのデメリットを突かれて、一気に4失点してしまった」と反省。指揮官にとっても「その中でも選手にパフォーマンスを出させる力を僕がつけないと」と悔しさの残る一戦となった。

それでも熟成を経て、自分たちのサッカーに手応えも掴んでいる。風間は「手応えはめちゃくちゃある。1年やってきて、自分に身についているというのが試合中にも実感出来ている」と力を込める。個を徹底し、そういった選手たちが繋がりを持ちながら、最後の部分では「自分の良さ」を発揮することを目指す昌平サッカー。指揮官も「そこは絶対に変わらない。やっぱり組織の中に選手を埋もれさせちゃいけない」とし、「充実感を持って、このサッカーで勝ちたいと思って入ってきてくれているメンバーたちだと思っているので、なんとかこれで勝ちたい」と話す。

8強、3位と来て、次はもちろん決勝、そしてタイトルへー。新垣は「絶対に純粋なサッカーが勝つというのを思い知らせて、自分たちのサッカーが一番強いということをタイトルを取って示したいと思います」とし、風間は「徳栄には2度負けているので、選手権は決勝で当たれるようにして自分たちが絶対に勝つ。自分たちの、昌平のサッカーで見ている人をワクワクさせて絶対に勝ちたいです」と意気込み。次こそは“自分たちの信じるサッカー”でタイトルを掴み取る。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 3-0 浦和西
0(前半)0
3(後半)0