平成30年度学校総合体育大会 中学校サッカーの部 準決勝 越谷千間台 vs 坂戸若宮

平成30年度学校総合体育大会 中学校サッカーの部準決勝。坂戸若宮中学校と越谷千間台中学校の一戦は、大量6得点を奪った若宮が6ー1で勝利して初の関東大会&決勝進出を決めた。


守勢に回る展開となった準々決勝での鬱憤を晴らすかのように、若宮の攻撃陣が躍動した。

序盤は千間台が前に出る中で若宮は前半12分に先制点。左サイドでボールを持ったMF田中栄地は「昨日の夜はずっとサッカーの動画を見ていた。ネイマール選手やエムバペ選手の股抜きのプレーを見ていたのでイメージはありました」。3人に囲まれながらも股抜きからエリア左を抉り、最後は右足で落ち着いて決めた。田中は準々決勝に続き2試合連続の先制ゴール。

さらにクーリングブレーク後の前半20分には、裏を狙ったMF小茂田知のパスに抜け出したMF加藤有貴がドリブル突破から最後は冷静にディフェンスをひとりかわして左足で加点した。

まずは1点を返したい千間台は前半27分にフリーキックからの混戦をMF割石篤史が詰めたが、若宮GK横山博俊が至近距離からのシュートをきっちりストップしてゴールは許さない。

後半の開始も千間台が攻勢に出たが、次にスコアを動かしたのも若宮。11分、ディフェンスのバックパスが弱くなったところを加藤が寄せて3点目。さらに加藤は再びクーリングブレーク明けの24分に横山のロングフィードから抜け出すと、しっかりとキーパーの動きを見つつ右足で左下隅をついた。26分にはDF菊池優太のアシストから小茂田が落ち着いて決めて5ー0。

千間台は後半28分にMF立松侑莉が豪快なミドルシュートを突き刺して1点を返したが、直後の29分、若宮はMF佐藤友優の積極的なプレスからFW原聖哉が前線でボールを奪取し右足で駄目押しの6点目。最後まで攻め手を緩めなかった若宮が大勝で初の関東大会切符を掴んだ。

「いつもいつも子供たちには助けられているので」。そう言って目を細めたのは今年で若宮に関わって10年目になる鈴木和範コーチ。「最初の頃は地区大会の1回戦で負けちゃうようなレベル。練習試合を組むのも大変だった」という時代から若宮中のサッカーを見守ってきた。

そういった中で平成26年度の新人戦で3位、昨年は学総でも3位と徐々に実績を積み重ねてきた中で掴んだ10年目の関東切符。「どれもやっぱり忘れられない選手がたくさんいますけど、やっぱりここのひとつの壁を超えることができた今日は感無量ですね」。関東大会に向けては「ぜひ1勝でもして、埼玉のみなさんに若宮中を認めてもらいたい」と意気込みを語った。

「自分がやってやる」 関東懸けの試合で加藤がハットトリックの活躍

「緊張というのはなくて、自分がやってやるぞっていう強い気持ちで試合に挑みました」。

背番号41をつける加藤がハットトリックの活躍でチームの初の関東大会出場に貢献した。

得意のドリブルから前半20分に1点目を奪うと、後半11分には相手守備の連携ミスを見逃さず2点目。「2点取ったからにはあと1点という気持ちはありました」。3点目は後半24分。ゴールキックから抜け出すと最後はキーパーの動きを冷静に見極めてネットに流し込んだ。

今大会はこれで4戦6発と得点力が光る加藤は、もともと2年の途中まで東松山ペレーニアでプレー。若宮に加わったのは新人戦後の昨年末で、登録リストで一番重い「41」の番号はその名残だ。クラブと中体連の違いに最初のうちは慣れない部分もあったというが、「このメンバーとは小学校の時にやっていたこともあったので馴染めないっていうことはなかったです」。プレーの中で仲間から信頼を勝ち取り、若宮に欠かせないキープレーヤーとなった。

武器は前を向いた時のドリブルとスルーパス。「試合中の冷静さ、いざという時に仕掛けられるところが好き」だというフランス代表MFアントワーヌ・グリーズマンは加藤の憧れだ。

今年の若宮は加藤も含め前線の4人が流動的にポジションを入れ替えながら相手に的を絞らせない変幻自在の攻撃が売り。「関東の舞台でも自分たちの持ち味を活かしつつ、次は全国大会という目標に向かっていきたいと思います」。古巣の東松山ペレーニアも関東大会を勝ち上がって、今年クラブとして初の全国大会出場を決めたばかり。ダブルでの全国となれば面白い。

石黒登(取材・文)

試合結果

越谷千間台 1-6 坂戸若宮

0(前半)2
1(後半)4