成徳深谷DF藤村岳渡、目の覚めるようなFK弾! 怪我に泣いた昨年を経て「今年は自分が」

「今年は自分がチームを勝たせる」。3年連続の4強がかかった細田学園戦。成徳深谷は1-0で迎えた後半7分、フリーキックを獲得すると、DF藤村岳渡(3年)が得意のキックで魅せた。

「昨日の練習でも直接フリーキックのところは練習していて決めることができていた。今日も狙ったコースにしっかり決めることができた」。ディフェンスの上をぎりぎり越しつつ、スピードもこだわったという右足のコントロールシュートを左隅に沈め、勝利を大きく手繰り寄せた。

また、後半はもうひとつの特徴である縦の推進力でも存在感。「後半は中にカットインしていったり、縦以外のところも相手に見せつつ、中を相手に意識させたところで自分の得意としている縦突破でチャンスを作ったりできたので良かった」。果敢にサイドを仕掛け、コーナーキックなどを獲得しながらチームの攻撃をリードした右WBを為谷洋介監督もこの日のMOMに推した。

チームの2点目となったキックは「中学の頃まではそこまで得意としていなかったんですけど、高校に入って、もうひとつ自分の武器を見つけたいなと思って、キックを磨くようになりました」。練習から高さやスピードを意識しながら蹴り込み。いまでは藤村の代名詞となっている。

昨年は関東予選も主力でプレーしていた中で、インターハイ予選を間近に控えた5月下旬に左足首を故障。復帰までは半年を要し、選手権予選もメンバー入りすることができなかった。外から見つめることしかできない中で「自分が出ていれば…」とふがいなさを感じることも。だからこそ、「やっぱり今年は怪我なく、自分がチームを勝たせられるようにしていきたい」と話す。

また、最高学年になり、自覚も。為谷監督は「去年までは自分のことしかできなかった中で今年はチームのことも考えながら動けるようになった」と成長を語る。藤村も「監督とかコーチからもそこは求められていて、チームのために自分がもっと声をかけたり、そういう部分でも自分が試合を決定づけられるようにしていきたいなと思って、そのへんも強く意識しています」という。

次の準決勝に勝てば、成徳深谷として5大会ぶりの本大会出場が決まるが、「自分の強みを出して、自分が得点を決めて、試合を決定づけられるようにしていきたい」と意気込み。怪我に泣いた昨年を経て「今年は自分が」と静かな闘志を燃やすサイドアタッカーが次も試合を決定づける。

石黒登(取材・文)