先輩への感謝を込めた一振りが決勝点に!立教新座DF岡本聡吾は“ミスターアルディージャ”と呼ばれた父と同じプロを目指しS1でのレベルアップ誓う

3年生への感謝を込めた一振りが勝負を決めた。来季のS1昇格をかけた浦和西との2位決定戦。立教新座DF岡本聡吾(1年)はスコアレスで迎えた後半44分、自らのコーナーキックから迎えた混戦のこぼれ球に左足を一閃し決勝弾。前田和伸監督も「あれは聡吾じゃなきゃ決められなかった。すごく技術の高いシュートだったと思います」というビューティフルゴールだった。

この一振りには3年生への感謝が込められていた。岡本は言う。「この学校に入って、3年生にずっと助けられてきた。まさか自分が決められるとは思っていなかったんですけど、3年生に感謝の気持ちを込めて、ただ打ちました」という恩返し弾。ゴール後はレギュラー組や先に引退した“3年生たち”に手荒い祝福を受け「痛かったですね」と笑ったが、嬉しい痛さだったはずだ。

岡本は大宮アルディージャJYの出身。中3の時は怪我などもあり出場機会に恵まれず、ユース昇格とはならなかった。高校選択は迷ったという中で「施設もすごく良くて、選手権もベスト8に行っていたので、このチームいいな」と立教新座を選んだ。武器の「左足のキック」や、「オーバーラップからのクロス」などスピードを生かしたプレーで早くから頭角を現すと1年を通してレギュラーSBとして活躍。57年ぶりの選手権4強やこの日のS1昇格にも大きく貢献した。

岡本も当初は不安もあったという中で「試合に出させてもらって、結果的に最後にゴールも決められて、充実したというか、自分には出来すぎているというか、選手権も埼スタに行けて、自分にはもったいないくらいの良い1年だったと思います」と充実の1年を振り返る。

岡本の父はNTT関東、大宮アルディージャで不動の左SBとして活躍し、“ミスターアルディージャ”と呼ばれた岡本隆吾さん(今季はトップチームフィジカルコーチ)。小さい頃から一緒にボールを蹴っていたといい、大宮JY時代も「ビルドアップというか、ボールを持つ時の身体の向きとか、その後の選択とかはいろいろ教わったりしていました」とアドバイスを受けていたという。ポジションも同じ左SBで「(プレースタイルも)多分似ていると思います」。将来的には父と同じように、大学サッカー経由でのプロ入りを目指している。

「ロングボールの対応というのはすごく苦手なので、S1のプレースピードは速い中でも競り合いとかで負けないように練習して、そこの課題を克服してやっていきたい」と岡本。来季はレベルの高い県トップリーグでさらにレベルアップし、今年以上に飛躍の1年とする。

石黒登(取材・文)