指揮官も認めた“影のMVP”、本庄第一MF福田美祐がもたらした安心感。中盤を支えた屋台骨とその彼女を支えたマネージャーの存在

決して目立つプレーヤーではないかもしれない。しかし、ピッチの中央に背番号7がいるというのは仲間たちに安心感を与える。本庄第一の屋台骨、MF福田美祐(3年)はそういう選手だ。

松山女子との3位決定戦、ボランチとして出場した福田はマイボールをしっかりと味方に繋ぎながら、中盤の1対1の競り合いの部分で存在感。また、攻撃面でも後半35分、ゴールエリア手前でボールを受けると「もう持った瞬間から自分で行こうと思った。(シュートまで)イメージした通りに行けました」と意識していたサイドを抉るドリブルから左足でネットを揺らした。

特に守備面での貢献度が高く、川合拓郎監督は「派手な活躍をしたわけではないですけど、要所、要所でやっぱりいると違う」と影のMVPに推す。「徳栄とかと去年戦っていて思ったんですけど、やっぱり競り勝てないと勝てないなと実感して、そこから気持ちを入れ替えました」と福田。身長は小さいが、ジャンプヘッドに意識して取り組む中でこの競り合いの強さを手に入れた。

盟友のFW比嘉萌々(3年)は「(福田がいるかいないかで)攻撃時のスピード感が全然違う。球際にも本当に早く行ってくれるし、強いし、真ん中で潰してくれるからすごく助かっている。自分がミスをしたとしても、美祐がいてくれるから自信を持ってやれます」と特大の信頼を示す。

そんな福田だが、昨年11月の関東大会1回戦・流通経済大柏戦(延長3-1〇)で左ひざの全十字靭帯を断裂。そこから手術を行い、練習に部分合流できたのが今年の5月、復帰できたのは6月と約半年にわたる離脱を強いられることに。本人にとってもこれだけ長い離脱は初めての経験。精神的にきつい時期もあったが、辛い時期を支えてくれたのはやはり仲間の存在だった。

「3年生に橋本朱理っていうマネージャーがいてその子とか、やっぱり自分の中で比嘉の存在が本当に大きい。3年生もそうなんですけど、マネージャーと比嘉がやっぱり常に精神的にも支えてくれて、練習でも最後まで自主練に残って一緒にやってくれたり、そういうのがやっぱり自分の中で一番大きかった。それがなかったら多分ここまで上がって来られなかったと思います」。

比嘉とともに福田を支えたのがマネージャーの橋本朱理(3年)だ。橋本は「とにかくずっと寄り添って、いろいろ知っていたので、その人の気持ちとかいろいろ考えながら話を聞いて」心をケア。「泣くたびにマネージャーのところに行っていた」という福田に寄り添って、親友を支えた。また、テーピングなども勉強しながら、「1日でも早く復帰できるように支えてきました」。

そのおかげもあり、福田は今大会フルコンディションで復活。だからこそ「結果で返したかったんです」。最初は「チームに入って仲間とコミュニケーションを取ったりするのが本当に難しくて、大変だった」とブランクを感じるところもあったというが、試合を追うごとに調子を上げると、3位決定戦では本庄第一の中盤に安定をもたらすキープレーヤーとして躍動。その姿に橋本は「頼もしかった。今日の得点とかも本当に嬉しかった」と自分のことのように喜んでいた。

秋季大会でもそんな支えてくれる人たちのために戦う。福田は「応援してくれるみんなのために絶対に優勝します!」と意気込み。橋本は「試合の日に向けて全員が良いコンディションで臨めるようにサポートできたらと思います。それで絶対に優勝します!」と全力サポートを誓った。

石黒登(取材・文)