[選手権]2回戦唯一のS1対決は市立浦和に軍配、武蔵越生に0-2から追いつきPK戦勝利! 1年生FWが殊勲の2点

第103回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会2回戦が20日に行われ、ともにS1勢の市立浦和と武蔵越生が激突。2-2からのPK戦の末に市立浦和が粘り強く勝利をものにしている。

前期は市立浦和が前半2点を先攻したが、後半武蔵越生が5点を奪って5-2で勝利していた。

武蔵越生は立ち上がり、自慢の攻撃ユニットが躍動。前半4分、10番FW髙橋悠太(3年)のシュートのこぼれ球をFWオビエゼ泰賀チコゼ(3年)がゲット。17分にはMF中嶋修斗(2年)のクロスに185cmの長身FW森一馬(2年)がドンピシャのヘディングで決めて加点した。

市立浦和は今季3バックで戦うことが多かったが、選手権に向けて4バックで準備。実際に大会前のリーグ3戦は失点「1」と形になりつつあった。しかし、この一戦では「緊張感と自信のなさもあり、呑まれてしまった」と大野恭平監督がいうように、後ろに重くなることが多かった。

それでも市立浦和は2失点したタイミングでもともとの3バックに変更。するとこれが奏功した。MF村上光希(3年)は「スリーに変えて、ひとりひとりの役割がはっきりして、後ろが競って前が拾うとか、逆に自分が競って後ろが拾うとか、そういうチャレンジ&カバーができるようになって改善したと思います」。セカンドボールの回収率を高めながら攻め込む回数を増やす。

ボールを横に動かしながらゲームを組み立て、右サイドでは指揮官も「最近良い」と話していたMF嶋田秀太朗(2年)が好突破からのクロスでチャンスメイク。すると33分、やはり嶋田のクロスからの形から最後は1年生FWの大前海斗(1年)がヘディングで奪って1点を返した。

さらに市立浦和は後半開始1分、嶋田の右クロスからゴール前に入り込んだMF横井葵(3年)がシュート。これはキーパーのセーブに遭ったが、「自分がシュートを決めるんだっていう気持ちで早くシュートを打つことだけを意識して押し込みました」という大前がいち早く反応し値千金の同点弾。大野監督も「あれがすべてですね」というひとつのターニングポイントとなった。

その後も市立浦和は10番MF田中悠真(3年)や横井、途中出場でキレを見せたMF千葉琉生(2年)がゴールに迫る動き。26分には千葉がドリブルで抜け出し、こぼれ球を大前が狙ったシュートがわずかに右に逸れた。また、守備面ではGK堀田悠空(2年)が今年特化して練習してきたというセットプレーやクロスなどハイボールをことごとく抑え続けたのも大きかった。

武蔵越生も20分に髙橋がチャンスを迎え、32分にも中嶋が決定的なシュート。2-2のまま突入した延長前半9分にはDF野瀬勇也(3年)のクロスから森がヘッドで狙うが、GK堀田が反応。こぼれ球を途中出場のFW野口遥(2年)が詰めたが枠を捉えきることができなかった。

PK戦では両チームともに3人目まで成功させた中で先攻の武蔵越生は4人目、5人目が連続して失敗。4人全員が成功させた市立浦和が2点のビハインドを跳ね返し、16強進出を果たした。

昨年は大野監督体制下初の8強でスタジアムでの戦いを経験。大野監督は「なんとか行きたいですね。やっぱり続くことが大事かなと思うので」とし、1年次から主力を務める堀田は「スタジアムは最高なので。絶対行きたいですね」と力を込める。前年はプリンス関東1部の西武台を下して8強入り。今年も関東予選覇者の正智深谷が相手だが、強敵を下し再びあの舞台に立つ。

石黒登(取材・文)

試合結果

武蔵越生 2(3PK4)2 市立浦和
2(前半)1
0(後半)1
0(前半)0
0(後半)0
3(PK)4