「全国を目指す」初陣で粘り強く勝利、浦和学院が聖望学園との注目カードを制す! 延長戦でFW石川真稀が決勝弾

令和4年度全国高校総体(インターハイ)埼玉県予選は4日、各地で1回戦の18試合を実施。屈指のカードとなった浦和学院と聖望学園の一戦は、延長戦の末に浦和学院が2-1で制した。

エース格の10番FW上田海輝人(3年)を脳震盪で欠く浦和学院はFW森田葵(3年)がスタメン出場。聖望学園は関東大会予選の立教新座戦から3人オーダーを変えてこの一戦に臨んだ。

聖望学園は序盤、切り替えの速さで主導権を握る。前半6分、3センターの中央を務めるMF古橋雫(3年)が前で奪い、左サイドを持ち上がり切り返しから惜しいシュート。その2分後にはMF本間翔太(3年)を起点に右SB渡辺碧(3年)がアーリークロスからチャンスを作り出す。

それでも先制したのは浦和学院。引水直後の前半23分、右SBの川畑宇輝(2年)のクロスをニアサイドに入った主将のMF野呂渉(3年)がそのまま蹴り込み、ゴール左隅に流し込んだ。

しかしこの1点が逆に重さを生むことに。村松浩監督は「追加点のチャンスがあればもうちょっと楽にゲームを進められるんだろうけど、やっぱりそこがまだ幼いというか力不足。リーグ戦を通してまだ勝ちの経験があまり多くないので、点を取るとそれを守ろうという傾向が若干見られる。今日も受けに入らず、どんどん点を取りに行かないとと言っていたんだけど、どうしてもやっぱりマイボールになっても攻撃のところでリスクを負うようなことをしなくなって、結局単調な攻撃になってしまうから、相手にボールを支配される時間が長くなってしまう」と話す。

前半33分に森田のシュートがサイドネットに、後半4分には川畑のゴールに向かっていくクロスがクロスバーにヒットするシーンはあったが、どれも単発であり勝負を決めるには至らない。

聖望学園は前半28分、古橋が再び前でカットし、スルーパスからMF平野昇成(3年)が決定的な場面。これは枠を捉えきることが出来なかったものの、HT明けも攻勢に出る。その中で後半25分、本間のシュートのこぼれ球をFW山本能暉(3年)が頭でプッシュして、同点とした。

勝負は延長戦へ。浦和学院は延長前半5分、渡辺のアーリークロスからFW石川真稀(3年)がヘディング。一度はポストに弾かれたが、こぼれ球に再度頭で反応し、これが決勝点となった。

勝負を決める追加点を奪うというところでは課題が残ったが、守備に関しては成長を示した部分も。関東予選では3回戦で正智深谷と当たった中で開始30秒でFKから失点。さらに前半のうちにカウンターから1点を奪われ、出鼻をくじかれた。その後はボールを支配して進め、後半は1点取れれば、という状況も作っていただけに、立ち上がりの失点が重く響いた一戦だった。

この日は相手のパス回しに対しコンパクトな陣形を保つことを心がけつつ、背後へのパスや1対1ではDF遠藤大河(3年)が強さ。最後の部分ではGK笈入琉椰(3年)が好守を連発した。

村松監督は「自分たちで注意してやらなきゃいけないところに関しては守備のところの対応というのはすごく神経を使ってやれていた」とし、「こういうタフな試合をものにしていく経験はチームの成長に大きく繋がる。これまでも去年も、競り合って、或いは先制したけど一個入れられて追いつかれちゃうともうズズズズッと沈んでいっちゃうのがいままでのチームだった。それをなんとか歯を食いしばって、踏みとどまって、もう一回というところに持っていくことが出来るようになったというのは、これが次にそういくかといったらわからないけど、こういう結果を出せるということ自体がちょっと成長したかなと思う」と守備面や精神面の成長を語った。

昨年12月には人工芝グラウンドも完成。村松監督体制も4年目を迎え、着実に環境も整いつつある。「全国に出るのを最大の目標としてサッカーに取り組もうぜというところは、今年は特にそういう目標は持たせてやっている」。その初陣で粘り強く勝利。まずは目の前の一戦一戦を全力で臨みながら、「埼玉県の代表として全国に出られるチームになるために」質を高めていく。

石黒登(取材・文)

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試合結果

聖望学園 1-2 浦和学院
0(前半)1
1(後半)0
0(前半)1
0(後半)0