平成28年度埼玉県高校サッカー新人大会 昌平 vs 聖望学園

5日(日)、新人戦の準々決勝4試合が行われ、昌平高校グラウンドではともに高校総体出場校の昌平高校と聖望学園高校が対戦。佐相壱明のハットトリックなど、大量4得点を挙げた昌平が4ー0で快勝し、ベスト4に駒を進めた。試合前には、元日本サッカー協会会長の岡野俊一郎氏が今月2日に死去したことを受けて、黙祷が捧げられた。

昌平の新エースが躍動した。序盤こそ聖望学園のハイライン戦術に対して手を焼いた昌平だが、舵取り役の山下勇希を中心にピッチ内の状況を冷静に見極めると、キックに定評があるCB関根浩平のフィードから佐相が狙っていくなど、徐々にコンパクトな守備ブロックを攻略していく。

先制点は前半32分。山下が左サイドからセンタリングを上げると、石井優輝主将の折り返しに佐相がストライカーらしい嗅覚で反応。速く難しいボールだったが、ダイレクトで合わせたエースの2試合連続弾で昌平がリードを奪う。

後半も昌平の勢いは止まらず。後半7分、「これまでの昌平にいなかったタイプ」と藤島崇之監督が評する伊藤雄教がドリブルで駆け上がると、センタリングからこちらも2試合連続ゴールとなった原田虹輝が決めて2ー0とした。

さらにその1分後には再び佐相がゴールネットを揺らす。相手を背負いながらボールを受けた背番号9は「練習から意識してやってきた」という反転からうまく身体を入れ替えてゴラッソ。さらに後半34分には後半から入った1年生MF古川勇輝のアシストに詰めてこの日3点目を奪った。

聖望学園は後半24分に10番の山村絋太がドリブルからシュートを放つが、これはGK緑川光希がセーブ。続くコーナーキックからもチャンスを迎えたが、ボールはわずかにゴール右に外れ天を仰いだ。

試合はこのままタイムアップ。昌平が大量4得点、また初戦・浦和東高校戦に続く無失点で連覇に向けて一歩前進した。

これが公式戦初のハットトリックだという佐相。昨年はゲーム終盤に2トップにする際の出場が多かったが、年末に行われたプリンスリーグ関東・参入決定戦に先発出場した。そして新たなエースとして9番を背負い挑んだ今大会では、2戦合計4得点と出色の出来を示している。

指揮官も昨年のエース・本間椋とは違う個を持つ新9番に期待を寄せる。「最終学年になったことで意識レベルも変わってきているのかと思う。(佐相の良さは)前線で起点になれること。ディフェンス的な運動量もあって献身的に動く。今はそこにプラスαシュートまで持っていけるようになってきた」。

そんな新エースが参考としているというのが日本代表FWの大迫勇也。プレー映像もよく見ているという。確かにしっかりと身体を張ってボールをキープできる点や、守備に対してもサボらずに献身的に動く佐相の姿は大迫と重なる。

今年の目標を聞かれると間髪入れずに「もちろん日本一です!」と宣言。針谷岳晃(ジュビロ磐田)や松本泰志(サンフレッチェ広島)ら先輩たちも届かなかった高みへ。まずは自らのゴールで新人戦連覇に導く。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 4-0 聖望学園

1(前半)0
3(後半)0