後半に一挙6発の衝撃、レジスタが鮮やかな逆転劇でV! 全日本3連覇を目指し成長の夏に

「関東U-12サッカー大会埼玉県大会」決勝が25日に埼玉スタジアム第3グラウンドで行われ、レジスタFCが6-1で1FC川越水上公園に逆転勝ちを収め、2年ぶり4回目の優勝を飾った。レジスタ、1FCに加え、3位決定戦を制した大宮アルディージャU12は、8月に山梨県で開幕する「2023フジパンCUP第47回関東U-12サッカー大会」に埼玉県代表として出場する。

ともに準決勝で本大会行きを決めた中での試合。渡辺泰明監督は「やっぱり試合に入る準備のところ。3枠を取るのがまず目的としてあって、そこを達成した時に雰囲気的にちょっと気の緩みがあった」と話す。準決勝で新人戦でも優勝を争った大宮アルディージャU12を1-0で下し4大会連続の本戦を決めたレジスタ。迎えた決勝も押し込んで進める時間は多かったが、最後の部分の質やラストパスがずれたりするなど、なかなか序盤は思うような展開にはならなかった。

逆に準決勝でレアル狭山FCを1-0で下し3度目の関東大会出場、準優勝だった2016年以来2度目のファイナルに進出した1FCは良い緊張感のなかで伸び伸びとトライする。まずは守備をしっかりと整備しつつ、相手エースには小林美沙吾(6年)がマンマークで付き、さらに1枚余らせて対応。鈴木亜郷(6年)の粘り強い守備やGK山崎輝空(6年)の好守もあり0で凌ぐ。

攻撃では準決勝でも存在感を放っていたウチェフナ・クリストファー・チゾバ(6年)が収めてカウンター。ゆったりとした持ち方からクッと一瞬の加速で抜き去るドリブルでチャンスメイクする。すると前半18分、ウチェフナが右サイドからカットインしシュート。GKが弾いたところを10番で主将の本多凪(6年)が準決勝に続き、2試合連続のゴールで仕留めて先制した。

レジスタは攻め込む中で「カウンターのところのケアをしなきゃなというのは気になっていたんですけど」(渡辺監督)というところでの失点。それでもこれでチームにスイッチが入った。

「前半はチーム全体としてテンションが低い部分があった。後半は監督からの声掛けもありながら、自分たちでも声を出して、追い上げていく中でテンションを上げられた」(秋山大翔主将)

後半5分、10番の安達一平(6年)がエリア外から果敢に左足を振り抜くと、このシュートには山崎が反応したが、手を弾きクロスバーに当たったこぼれをサイドから前線にポジションを変えた梛山与一(6年)が詰めて同点に追いつく。さらに7分には右サイドでボールをカットした平井夢星(6年)ドリブルで運び横パス。安達は一度左に流れると思わせて右に持ち替えると寄せるDFをものともせず、今度は右足で打ち抜いてゴールネットに突き刺し逆転に成功した。

得点が動いたことで1FCも前に出ざるを得ず、後半はややオープンな展開となったこともレジスタにとって有利な展開に繋がった。16分には右サイドの髙橋征矢(6年)が持ち上がりクロスを送るとこぼれ球を安達が沈めて加点。その1分後には安達の右CKから「ヘディングでは負けない」と話す主将の秋山大翔(6年)が打点の高いヘディングで叩き込んだ。終盤も23分に縦パスに抜け出した安達が右足で力強いシュートを突き刺しハットトリックを達成。25分には安達の左CKから渡邉秀墾(6年)がヘディングを沈めて6点目とし、ゴールショーを締めた。

エースストライカーの安達は、渡邉とともにひとつ上の代でもレギュラーとして活躍し、2連覇を飾った昨年12月の全日本U-12サッカー大会でも4ゴールを決めた期待の選手。決勝は左右両足からの豪快なシュートからハットトリックを達成したほか、セットプレーから上質なキックで2アシストを決めたりと、全6ゴールに関わる活躍だった。安達は「後半は自分で打開してシュートまで持っていくのを意識した。パスもシュートも今日は結構調子が良かったし、CKも狙っていたところにうまく飛ばすことができた。最初にみんなからも前に合わせるから決めてこいよみたいな、そういう雰囲気だったので全ゴールに絡めて良かったです」と笑顔を見せた。

立ち上がりこそ苦戦したが、終わってみれば決勝という舞台で6発快勝。今年の代も力を持った代であることは間違いない。先月には「JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会」で川崎フロンターレと並ぶ最多タイの4度目の春の日本一に輝き、胸の星を8つ(全日本3回、ダノンネーションズカップ1回、JA全農杯4回)に増やした。渡辺監督は「そこは目標としてやっているところで、彼らもそこをモチベーションに、また次の星を増やそうということでやっている。そこがすべてではないですが、継続することでそういう結果もついてくると思うし、自分の成長だと思って、次に繋げるということがまず一番なので、春の全国優勝を自信にひとりひとりが成長してくれれば勝手にチームも成長すると思うので、そう持っていければと思います」と話す。

その上で今年の冬は全日本3連覇&春冬の全国2冠へ。当然プレッシャーもあるが、「現状うちしかそのプレッシャーを感じることできないし、より成長するチャンスだと思う。この学年の大きな目標として、全日本でもう1回優勝して、3連覇しようというのがあるので、そこに良い状態でいくためには、色々課題と収穫とが出るようなチャレンジができればいいなとは思っています」(監督)。8月の関東大会はもちろん、この夏さらに成長して冬に胸の星を9つに増やす。

石黒登(取材・文)

試合結果

レジスタFC 6-1 1FC川越水上公園
0(前半)1
6(後半)0