主力にけが人多数も、地力見せた西武台が支部V 今年のテーマは原点回帰「自分たちで」
令和4年度高校サッカー新人大会は5日に各支部で決勝を行い、西部支部では西武台が1-0で聖望学園を下し、優勝を決めた。なお、西武台と聖望学園は今週末開幕の県大会に出場する。
西武台は前半15分、右SBの高橋宥輝(1年)の縦パスから新10番のMF西村航(2年)が抜け出して先制。その後も前線からプレスをかけながら、ロングパスとショートパスを組み合わせながら攻撃を展開しつつ、左サイドからはMF竹内奏海(1年)が果敢にカットインで迫った。
前半は良い攻撃を見せた一方で、後半は聖望学園が攻勢を増したこともあってやや失速。32分に途中出場のFW鈴木洸晴(1年)が惜しいシュートを放ったが、後半はこの1本に終わった。MF武笠修也(2年)主将は「主力の2年生が何人かいない中で、しっかりと守備から入って0で抑えられたのは良いこと」としつつ、「後半はやっぱり攻撃が単調になってしまった。そこでサイドチェンジとかを入れて、もう少し自分たちの時間を増やすということが課題」と話した。
聖望学園は西武台を相手にも引かずに対応し、FWファサン・ダニエル(1年)らを投入した後半は押し込むシーンも多く作ったが、なかなか最後のシュートまで繋げることができなかった。
西武台の今年のテーマは原点回帰の「自分たちで」。守屋保監督は「(去年は)関東1部で戦って、ある程度相手のストロングポイントばかり伝えて、耐える、耐えるというところにこっちが言いすぎてしまった」と話す。「自分たちで『俺ら行けるじゃん』『俺らやれるよ』というところを感じれば、もっと自信持っていくんじゃないかなと。言われたことで、うまく成功したとしても自信にはならない。自分たちで言って、やったことで成功すれば、俺らこういうふうにできたよね、やれたよねと。そんなふうに褒めてもあげたいし、わかっていてもそういうフリをしてあげたい」。
先発メンバーについてもあらかじめ試合前に守屋監督から提示するが、最終決定を下すのは選手たち。また、この試合では怪我で外れたメンバーを指揮官の後ろに置き、視点を共有した。
「大事なところで自分たちでできるとか、自分たちの意見でうまくいっただとかいうのがピッチの中でできるようになってほしいなと思っているんです。なにしろピッチの中で、1秒足りも時間を空けないで、気が付いたことを伝えて、自分たちで改善したり、よかったところはどんどんそこをパワーアップさせて、試合に運べるようにしていきたい。サッカーというのはベンチから気がつく時にはもう相当悪い時。やっている選手が嫌なところをどういうふうに中で注意を払いながらやっていけるかっていうところまでちょっと感じてほしい。ちょっとそんなところで進めて、もう1回ちょっと時間をしっかりとかけて、チームにしたいなと思っている」。
そこには「また大学に行ってサッカーをもっともっとうまくなりたいという気持ちで終わってほしい」という指揮官の想いもある。昨年もOBからは拓殖大のGK高麗稜太がガイナーレ鳥取に、選手権予選で見せたオーバーヘッドも記憶に新しいMF深代陸がアルビレックス新潟シンガポールに、山梨学院大MF若谷拓海がギラヴァンツ北九州に内定するなど、これでプロ入りの数は24人となった。高麗からは「高校の時から試合で負けたりだとか、誰にこういうプレーをさせたらチームが安定するのかっていうのを考えられたのは良かった」と話されたという。
今大会は昨年プリンスリーグにも出場したDF永山泰希(2年)やMF風間裕貴(2年)が怪我でメンバー外に。MF治部田元太(2年)、GK萩原優也(2年)も負傷で欠くなど、主力選手に多数の欠場者がいた中でしっかりと支部優勝まで持って行ったのは地力の証だ。永山は県大会からは復帰予定で、主力選手が戻ってきてどういうチームになるのかは楽しみなところ。また、昨年関東ルーキーリーグを制し全国でも3位に入った竹内やFW遠藤秀悟、DF谷口輝ら、指揮官が「勢いを持っている」と話す期待の1年生たちと融合し、どういう化学変化を起こすか。
主将の武笠は「去年は勝てないで悔しい想いをした。その前の代が選手権に出た代で、そこでも先輩たちの姿を見ているので、両方を経験しているという意味では、さらにその2つの代を越えて、この後の県大会にも繋げて、インターハイや選手権も取れたら」と強い意気込みを語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
西武台 1-0 聖望学園
1(前半)0
0(後半)0