戦いの中で「負けないチーム」になってきた西武台。PK戦の末に桐蔭学園を下し、プリンス1部参入に王手

「高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021関東1部参入戦」1回戦が18日に山梨県の押原公園で行われ、西武台はPK戦の末に桐蔭学園(神奈川)を下し、代表決定戦に進出した。

決して全体を通して自分たちのリズムで運べたわけではないし、自分たちのサッカーが出来たというわけでもない。それでも戦いを通して「負けないチーム」になってきたのかもしれない。

参入戦の初戦は強烈な寒風吹きすさぶ中での難しいゲームとなった。風下での戦いとなった前半は耐える展開に。セカンドボールを拾う位置も低く、効果的な攻撃を出すことが出来なかった。

風上に立った後半はMF和田力也(2年)や途中出場のMF松原海斗(3年)が積極的な仕掛けから好機を演出する。後半43分にはMF岡田瑞生(3年)のクロスをDF原田蓮斗(3年)主将がヘディングで折り返し、FW市川遥人(3年)がオーバーヘッドで狙っていったが、ゴールネットを揺らすことは出来ず。スコアレスのままゲームは延長、そしてPK戦にもつれ込んだ。

西武台は選手権予選決勝の浦和南戦でも準備していたGK中嶋望(3年)をPKキーパーとして投入する。中嶋は1本目から気迫を持って臨むと、相手の2人目のキッカーが失敗。対する西武台は5人目まで全員がしっかりとネットに沈めて勝負あり。難しい環境下での初戦を制した。

「我慢我慢の展開の中で、でもこいつらは負けないかなと。サッカーって自分たちのリズムを持っている中で相手が分析してくる分、そのリズムが作れなくなって崩れていく。決して良いリズムというのは作れなかったとしても、“リズムを壊さない”という強さが出てきた」(守屋保監督)。

この『リズムを壊さない』というのが今年の強さ。この日も序盤から耐える展開となった中で自分たちのリズムにならない時でも焦れずに対応。延長前半にはピンチもあったが、GK淺沼李空(3年)が飛び出してブロックすると、今年の守備陣を牽引してきたDF武笠隼季(3年)がゴールライン上でクリアしたプレーには安心感も感じたほど。延長後半には中嶋を投入し、フィールドプレーヤーたちもPK戦へ気持ちをスイッチ。選手権決勝では原田主将が「PKまでしっかりと準備していた」と話していたが、その言葉を証明するように5人全員がきっちりと決めた。

守屋監督は「負けない数が増えてきて、PKでも負けない形になったのはまたひとつ増えたなと。ある部分、負けなければ次のプリンスも取れるだろうし、選手権でも負けなければ国立まで駆け上がることもあるだろうから、もう一度負けないということ」を再度確認。またその中で「自分たちで『出来る』という言葉をもっと増やそうと。ポジティブな声かけをピッチの中で掛け合おうと。プレー云々というより、もうちょっと積極的な言葉かけが出てくるともっと勢いが出てくる。技術は変えられないけどそこは変えられるだろうと」と積極的な声かけを課題に挙げた。

代表決定戦の相手は関東第一(東京)に決定。同じく選手権出場を決めている強豪だが、ポジティブな言葉を掛け合いながら2連勝でプリンス1部を決めて、選手権に最高の弾みをつける。

石黒登(取材・文)

試合結果

桐蔭学園 0(3PK5)0 西武台
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
3(PK)5