「このステージに絶対立たないとダメだと思っていた」。正智深谷が武蔵越生との接戦を制し、5年ぶりの関東大会へ

関東大会予選・準決勝(27日)。正智深谷と武蔵越生の一戦は、後半に2点を奪いきった正智深谷が2-0で競り勝ち、決勝に進出。この結果、2017年度以来となる関東本大会行きを決めた。

正智深谷は前半、後方から丁寧に組み立て、MF春山朔也(3年)、MF佐藤瞭丞(3年)の両サイドやFW菅野智稀(2年)が抜け出しを狙うが、「距離感が空いてしまって、後ろで繋いでいるだけで前に行けず、途中でボールを取られてショートカウンターだとか、相手のロングキックからピンチになったり、自分たちのやりたいことがうまく出来なくてすごい苦しかった」と主将のDF小屋結世(3年)が振り返ったように、なかなか迫力を持って迫ることが出来なかった。

対する武蔵越生は相手の攻撃をうまく抑えながら、FW植田空(3年)ら前線の機動力を生かして攻撃。前半18分にはFW荒関龍(3年)が右足アウトにかけたシュートがポストを直撃した。

正智深谷は前半AT、菅野が粘って縦に送り、抜け出した春山が決定機を迎える。しかし、このシュートは武蔵越生の守護神・関根拓郎(3年)が好反応。前半はそのまま0-0で終わった。

すると後半、武蔵越生ベンチが動く。7分、10番FW笛木亮成(3年)、MF今野達也(3年)を投入して前線を2枚替え。これで潮目が変わる。10分にはセットプレーの2次攻撃から笛木が左サイドで相手DFを外し、ゴールに向かっていくクロス。DF須田櫂舟(3年)にはあと一歩届かなかったが、面白いシーンを創出。活動量も増え、相手陣地に攻め込む回数を増やす。

しかしここを決めきれずにいると、正智深谷がしたたかに先制点を奪った。引水前の後半20分、途中出場のFW古橋颯(3年)が敵陣左中間でFKを獲得。これをDF冨岡佑太(3年)が左足でゴール前の密集地帯に蹴り込むと、小屋が競る。そしてこのボールのこぼれ球を小屋とCBコンビを組むDF岩崎佑規(3年)が飛び上がりながら右足でミートして、ゴールに流し込んだ。

1点を追う武蔵越生は準々決勝で1ゴールのMF安西歩夢(3年)が前に出る形を増やし、後半33分には安西のドリブルからのマイナスクロスから決定機。さらに37分には再び安西のクロスから連続攻撃に繋げ、MF佐藤祥太(2年)が絶好の位置でFKを獲得する。今野の左足のキックは低いスピードボールとなってゴールに迫ったが、数センチ右に逸れポストに当たった。

正智深谷は後半40分、古橋が今度はエリア内でPK奪取。これを先制弾の岩崎が相手GKの動きを見ながら冷静に逆をついて沈めて勝負あり。接戦を制し5年ぶりの関東大会行きを決めた。

2-0勝利も「快勝したという感じはないですね」と正智深谷・小島時和監督。この試合では前線でボールを収め、攻撃にバリエーションを加えることが出来る10番MF外立翼(3年)の欠場もあったが、現時点におけるチームの共通認識や理解度、経験値不足は否めない部分もある。そこはここから夏を経て、勝負の選手権予選に向けて、高めていかなければいけない部分だ。

それでも「勝負というところではダメな時はしっかり守備をして、来たチャンスをものにすれば勝てるから」と指揮官も選手たちに話しているように、1年時からレギュラーを務める小屋を中心とするディフェンス陣は今年も安定しており、小屋は「自分たちは結構粘り強い。そういうところをまずは強みにして、苦しくても後ろは失点をしないというのを心がけてやりたい」と話す。

「昌平や西武台がいない中でこのステージには絶対に立たないとダメだと思っていた」(小屋)という決勝進出、関東大会出場をクリア。もうひとつ勝って関東でさらに上の経験を積み上げる。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 2-0 武蔵越生
0(前半)0
2(後半)0