武南が3大会連続の関東切符!伝統のパスワークをチューンナップし関東、全国仕様へ

関東大会予選・準決勝(27日)。本大会切符をかけたもう1試合は武南と成徳深谷が激突。武南が2-1で勝利し、3大会連続(2020年大会は中止)となる関東大会出場を決めた。

両チームは4月10日に行われたS1リーグ第2節でも対戦。成徳深谷が先に得意のセットプレーなどから3点を先行したものの、武南がその後3点を取り返し、引き分けていた。

この試合も立ち上がりが注目されたが、スコアを動かしたのは武南だった。前半30分、年代別代表も経験した10番MF松原史季(2年)がDFラインの背後に絶妙なパスを通すと、1トップのポジションに入るFW杉沢旭浩(2年)が右足ダイレクトで沈めて先制した。

その後も武南は相手の裏を取るドリブルを得意とする左MFの山田藍大(3年)がDFの間を割ってエリア内に侵入しチャンスを作るなど攻勢を続け、1-0で試合を折り返した。

一方、成徳深谷はリーグ戦同様、「受けずに行く」ことを狙いとしていた中で前半は相手の勢いに呑まれシュート0本に。後半11分、DF鈴木嵐(2年)のクロスにFW平井心瑛(3年)が滑り込んだが、あと一歩届かず。なかなか決定機を作ることは出来ないが、守護神の木村航大(3年)が好守を連発するなど、粘り強く守り最少失点で耐えて、チャンスを待つ。

しかし、次の1点を奪ったのも武南。後半27分、中盤からドリブルで持ち出した松原を起点に杉沢がワンタッチで繋ぐと、中央で受けた途中出場のMF山本昇汰(3年)は深い切り返しで相手DFを外し、最後は左足でゴールネットにきっちり流し込んで2点目とした。

2点を追う成徳深谷は後半38分、MF高橋流(3年)の左CKからの混戦を準決勝でもセットプレーから決勝点を奪ったDF増子颯竜(3年)がヘディングで決めて1点差に。ATには再び高橋のCKに増子が合わせたヘディングはタイミングぴったりだったが、これは惜しくも枠を捉えることが出来ず直後に笛。武南が2-1で勝利し、決勝進出を決めた。

80分間ほとんどの時間でゲームを支配した武南だが、内野慎一郎監督は「内容としては全然嬉しくない。僕としては10点、20点、30点の世界」と厳しい視線で試合を振り返る。

「(ロングボールを蹴る相手に)どういうふうに落ち着かせて自分たちの時間にするのか。サイドチェンジでうまく自分たちのリズムを作りたかったんですけども、そこをパックされてしまった。ボランチの駆け引きの部分でも前半は同サイドで崩せたから同サイドにこだわってしまったと思うんですけど、あれをどう掻い潜って時間を作るか。サイドバックのところも無理に自分のところできっかけを作ろうとしてぶつぶつ切れてリズムが出来ない」

例年であればいま頃は武南・伝統のパスワークについてトレーニングしている時期だが、昨年から出ている選手が多い今年は、昨年からの継続という形で「そこがちょっと希薄になっている」と内野監督は警鐘を鳴らす。個で運べる選手が多いことは今年のチームのプラス材料だが、そこを塞がれた時にどうするか。これから進む関東本大会や復帰を目指す全国大会など、上のステージを見据えるのであれば当然そこは避けては通れないところだ。そのためにも伝統のパスワークをチューンナップしつつ、個でも破壊出来る、そんなチームになる。

石黒(取材・文)

試合結果

成徳深谷 1-2 武南
0(前半)1
1(後半)1