第99回 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 準々決勝 昌平 vs 武南

選手権埼玉予選2次トーナメント準々決勝。昌平と武南の一戦は3-1で昌平が勝利した。

武南は前半伝統の攻撃スタイルではなく、まずはしっかりとした守備から得点を与えない戦術を選択。対する昌平は中盤でMF柴圭汰らがセカンドボールを回収し、連続したアタックから両サイドバックの攻撃力を生かして押し込む。前半14分には右SB本間温士がサイドを抉り、MF小川優介のミドルシュートが枠を捉えたが、ここは武南GK吉田陸斗が横っ飛びで防いだ。

その後もミドルシュートなどで打開をしにかかるものの、武南の粘り強い守備の前になかなか決定機を迎えられなかった昌平だが、前半終了間際についに均衡を破った。39分、左コーナーキックを獲得するとMF須藤直輝のクロスをDF生島翼が折り返し。一度は弾かれたが、跳ね返りをFW出身のDF唐木晃が体幹の強さを生かしたヘディングで押し込んで昌平が先制した。

さらに昌平は後半10分、左SB小澤亮太がゴールライン際に鋭いクロスを送ると、これにストライカーらしい嗅覚で食いついたのがFW小見洋太だ。目一杯右足を伸ばしてジャンピングボレーシュート。これは惜しくもライン上でディフェンスに防がれゴールとはならなかったが、クリアにMF平原隆暉がしっかりと詰めてヘディングでゲット。さらに後半27分には小澤がカットインからエリア内で深く切り返してPKを獲得。これを「この蹴り方にしてから外したことがない」という小見が細かいステップワークからキーパーの逆をついて決めて3-0とした。

攻撃に出るしかなくなった武南は、途中出場のFW井上修吾が後半37分に積極的なプレスから相手のパスミスをカット。そのままドリブルで運び冷静にゴール左隅に突き刺して意地の1点を返したが、反撃もここまで。昌平が3-1で勝利し、8年連続となるベスト4進出を果たした。

レギュラーSB欠場も層の厚さを見せた昌平。本間温士は「自分の良さを出す」ことを意識して好突破を連発

「自分の良さを出す」ことを意識して好突破を連発。昌平はこの日右サイドバックの田島魁人が負傷で欠場となった中、代わって出た本間温士が思い切りの良い突破で縦を何度も抉った。

今年はプロ入り4人に注目が集まる昌平だが、田島と小澤亮太の攻撃的両サイドバックも売りのひとつ。3回戦の浦和南戦では田島のクロスから2点が生まれた。しかしこの試合で田島が足首を負傷。幸い大事には至らなかったが、ベストな状態ではできないという中で「だったら本間の爆発的な力というところで行こう」と藤島崇之監督は2年生SB抜擢の理由を説明した。

プリンスリーグの経験もある本間だが、選手権でいきなりのスタメン出場。「正直めちゃくちゃ緊張した」というが、「監督やチームメイトから自分の良さを出せと言われている。自分の良さは縦に仕掛けること。そこは絶対的な自信があるので思い切っていこうと思いました」。

すると1本目から好突破を披露する。「自分は結構一発目を大事にしていて、そこで行けたので自信になりました」。前半14分には一瞬の加速力で一気にトップスピードに乗りサイドを抉ると、ゴールには結びつかなかったもののMF小川優介の決定機を演出。その後も何度もサイドを攻め上がり、後半31分に足を攣らせて途中交代するまで思い切りの良いプレーを見せた。

「小学校の時(NEOS所属)からスピードには自信があった。LAVIDAに入ってドリブルでの仕掛けだったりを学ばせてもらって、昌平に入ってさらにそこに磨きをかけるようにやってきた。ここ最近さらに自信を持ってできるようになって、そこは自分の自信にもなっています」。

LAVIDAの1年先輩で現在同ポジションのレギュラーを務める田島は「キックがうまいのでそこは負けている部分だと思うけど、自分の仕掛ける部分は負けていないと思います」という2年生SBは「今日スタメンで勝てたことはすごく嬉しい。今後はアシストだったり、得点という結果にこだわってやっていきたい」と勝負を決められるようなサイドバックになることを誓った。

武南は前半終了間際の1失点に泣く

武南は前半40分をまずは守備的に臨み、後半MF水野将人や途中出場のFW井上修吾といったスピードのある選手で得点を取りに行く作戦だったが、ハーフタイム直前の1失点に泣いた。

この日はサイドハーフがディフェンスの前に入り、中盤の3枚がフラットに並ぶ変則的な4-「2」-「3」-1システムを採用。相手のサイドにはサイドバックを食いつかせずにサイドハーフが対応。まずは中央をしっかりと固めて、ゲームを壊さないことを意識して臨んだ。

実際に前半はDF渋谷亮輔、堀内那斗を中心に粘り強く守って決定機はほとんど与えなかったが、前半終了前のセットプレーの失点が重く響いた。内野慎一郎監督は「この1週間は本当に考えに考えて、トレーニングして、一生懸命臨んでくれましたけど相手が上回っていた」としながら「CBは結構疲労感もあった中で本当にあの2人はよくやってくれたと思う」と労った。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 3-1 武南
1(前半)0
2(後半)1