平成28年度 埼玉県高等学校サッカー新人大会 準決勝 正智深谷 vs 西武台

12日(日)に行われた新人戦準決勝、もう一つのカードは全国選手権ベスト8の正智深谷高校と西武台高校が対戦。後半開始13分で3点を奪った正智深谷が3ー0で勝利し、昌平高校の待つ決勝に進出した。

準決勝第1試合の昌平対武南高校同様、強い風に見舞われたこの試合。前半は風上に立つ西武台が優勢にゲームを進める中で、準々決勝1ゴールの宮田輝、山口賢人、小林一貴が正智深谷ゴールに迫っていく。

「風の影響もあったが、前半は状況判断が悪く、何もできなかった」と正智深谷・小島時和監督。終盤にかけては左サイド・萩原駿のドリブルなどから反撃を試みるが、結局西武台のシュート4本に対し、正智深谷は1本と完全に押し込まれる形で前半を終えることとなった。

それでもさすがはこの冬、全国の強豪校としのぎを削ってきた選手たち。後半に入って風上に立つと、その実力を遺憾なく発揮する。

先制点は後半開始直後の2分。海老塚宝良のフリーキックをキーパーが弾くと混戦の中、「追い風だったので絶対にキーパーがこぼすと思った。そこを狙っていて、自分の前にちょうど溢れてきたのであとは決めるだけだった」という中村友空が右足で蹴り込んで試合を動かす。

このゴールで「落ち着いて、良い判断も出てきた」(小島監督)。後半は風を有効に使いながら、リズムを作ってくと12分に西澤悠人のクロスから福井康太が追加点。さらにその1分後には須々田宗太が混戦からのこぼれ球を無人のゴールに叩き込み、リードを3点に広げた。

交代策も的確だった。後半開始時に主将の梶谷政仁、20分にはオナイウ情滋と2人のアタッカーを投入。前線で起点となった梶谷は20分過ぎにクロスバーをかすめるシュートを放ち、1年生ながら全国を経験したオナイウも右サイドから迫力のあるドリブルで見せ場を作った。

また、選手権では退場処分を受け、涙を流した谷口瑛也も様々な経験を経て、安定したパフォーマンスを披露。後半は8本のシュートを放ったのに対し、西武台に1本のシュートも許さず。終わってみれば3ー0の完勝で、平成23年度大会以来となるファイナルに駒を進めた。

「梶谷や海老塚、谷口、中村、西澤は選手権の経験が大きかったんじゃないかと思う。このチームがこの先、関東、インターハイ、選手権でどう進化していくのか。じっくりいきたい」と小島監督。選手権が終わったばかりでまだ手探りの状況だが、そんな中でも5人の経験は心強い。

決勝の相手は連覇を狙う昌平となった。「絶対に無失点で抑えて、大量得点で勝ちたい」と梶谷主将。センターバックの中村は「しっかりパスを回してくるチームなので、そこは自分たちの真ん中を固めて絶対に失点しないようにしたい」と両選手ともに守備の重要性を訴えた。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 3-0 西武台

0(前半)0
3(後半)0