両校の注目埼玉出身プレーヤー!埼玉サッカー通信的 高校サッカー選手権決勝プレビュー

全国高校サッカー選手権大会もついに決勝の1試合を残すのみとなった。17年ぶりの出場となった浦和南高校は残念ながら1回戦で敗退。今年も県勢の埼玉スタジアム行きは叶わなかったが、決勝を戦う青森山田(青森)、流通経済大柏(千葉)にも埼玉出身プレーヤーがいる。

Embed from Getty Images

青森山田を牽引するバスケス・バイロン、「炎のストライカー」小松慧が起死回生の同点弾

青森山田を牽引するひとりとして今大会注目を集めているのがMFバスケス・バイロンだ。

生まれはチリだが、9歳の時に東松山市に移り住み、中学校年代は地元の東松山ペレーニアでプレー。ボールスキルを大切にするクラブで技術を磨いた。そのペレーニアでは前橋育英(群馬)のエースで新シーズンよりJ2松本山雅FCに入団する榎本樹と強力2トップを形成した。

青森山田では1年から出場機会を掴むなど期待されたが、苦しんだ。2年次の選手権も出場は叶わず。同大会ではかつての相棒、榎本が前橋育英を全国優勝に導く決勝弾を奪うなど活躍する姿を見て悔しい想いを味わったが、今年は中心選手として力強くチームを牽引している。

2回戦の草津東(滋賀)戦では1ゴール、2アシストを決めて6ー0大勝発進に貢献すると、準決勝の尚志(福島)戦では先に失点する苦しい展開となった中で、仕掛けや高校で磨いた右足の鋭いクロスからチャンスを演出。すると後半11分、その積極的な姿勢が結実する。自陣からのサイドチェンジに抜け出すと果敢に縦に仕掛けてPKを獲得。同点弾のきっかけを作った。

ここからゲームは一気に加速、チームは後半18分に逆転弾を奪ったが、23分、30分と失点して再びビハインドを背負ってしまう。残り時間も少ない中、ここで決定的な仕事をしたのがジュニア年代は越谷サンシンサッカースポーツ少年団でプレーした同市出身のFW小松慧だった。

元日本代表FW中山雅史を敬愛し、自らを「炎のストライカー」と称する小松は後半42分にピッチに立つと投入直後の43分、ロングボールを味方が競ったこぼれ球に反応。ルーズボールは一度は相手ディフェンスに渡ったが、諦めずに追いかけて奪い返すとそのままドリブルでエリア内に突進、最後は右足で起死回生の同点ゴールを流し込み、その後のPK戦勝利に繋げた。

「技術のバイロン」と「魂の小松」。2年ぶりの頂点を目指す青森山田で存在感を放つ2人の埼玉プレーヤーたちの活躍に期待したい。

Embed from Getty Images

昨年主将も「只者じゃない」と太鼓判 流経大柏は1年生ボランチ藤井海和に注目!

一方、流経大柏の中盤で1年生離れしたプレーを見せる藤井海和も埼玉出身のプレーヤーだ。

入学早々にスタメンに抜擢されると序盤はセンターバックで起用されていたが、高い身体能力と危険なコースを読む危機察知能力を買われてボランチに。今選手権でも的確な読みでインターセプトを連発、奪ってはミドルレンジのパスをバシバシと通して攻守の起点となっている。

準決勝の瀬戸内(広島)戦では自らゴール前に入っていく姿勢を見せて選手権初ゴールを記録。その後は再び守備で貢献、相手に反撃のチャンスを許さず、3戦連続の失点0に貢献した。

そんな藤井に対し、昨年の主将で同じく守備的ボランチを務めた宮本優太(現・流通経済大)も「藤井海和は只者じゃない。決勝でも頼むぞ!!」とSNSを通じて自身の後継者に太鼓判を押す。タレント揃いの青森山田に対してもこの1年生MFがどれだけ中盤で攻撃の芽を摘み取ることができるのか、セカンドボールを回収できるのかは勝敗を分けるポイントとなりそうだ。

また、同じく1年生ではサイドバックの清宮優希も埼玉出身。準々決勝の秋田商業戦では先発フル出場で選手権デビューを飾った。出場となれば切れ味鋭い突破を見せてくれるはずだ。

石黒登(文)