17大会ぶり出場の”赤き血のイレブン” 浦和南が選手権に挑む【選手権展望】

第97回全国高等学校サッカー選手権大会は30日に東京・駒沢陸上競技場にて開幕。今年は埼玉県代表として「赤き血のイレブン」こと、浦和南高校が17大会ぶり12度目の出場を果たす。

連覇を含む選手権優勝3回、インターハイ優勝1回。昭和44年には“名将”松本暁司監督のもと、選手権、インターハイ、国体(当時は単独チームでの出場)の高校タイトル3冠を独占し、漫画「赤き血のイレブン」のモデルとなった伝統校が久しぶりに選手権の舞台に帰ってくる。

支部予選からの出場となった今年、新人戦は1回戦敗退と苦しいスタートだった。それでも守備面で成長の見られた浦和カップで優勝を飾ると、関東大会予選で4強に進出。インターハイ予選は決勝で昌平に敗れたものの、第2代表として9年ぶりに全国大会出場を決めた。インターハイは1回戦で松本国際(長野)をPK戦の末に下すも、続く2回戦で東福岡(福岡)に敗れてベスト32。再びの全国を目指し臨んだ選手権は聖望学園、武南、成徳深谷という難敵をすべて1ー0で下すと、決勝では今季4戦4敗だった昌平に対し後半先制されるも、終盤にMF大坂悠力、DF庄司千暁のゴールで逆転し、野崎正治監督帰還6年目でついに選手権の扉を開いた。

チームの根幹を流れる守備のメンタリティ“南高魂”

チームの根幹に流れるのは“南高魂”と呼ばれる守備のメンタリティ。インターハイ後に守備範囲を広げ一皮剥けた感のあるGK正野友稀、空中戦に絶対の自信を持つDF相馬海音、庄司ら後ろの選手はもちろん「自分たちのゴールに戻ったら絶対に南高のゴールを守るという気持ちで魂を込めてプレーしている」と大坂が言うようにそれは前のプレーヤーにしても変わらない。

予選は聖望学園、武南、成徳深谷という難敵にいずれも1ー0と完封。決勝は今季リーグ戦を含め4戦4敗と一度も勝ったことのなかった昌平に対し後半頭に今大会初失点を喫したが、後半21分に大坂のPK弾で同点とすると、31分にセットプレーのこぼれ球を相手ディフェンスのクリア手前で大坂が頭で魂のプッシュ、これを庄司が右足で突き刺して逆転した。終盤は相手の猛攻に遭ったが、各々が各々をカバーしあいながら「南高のゴールを守るんだ!」という魂を持って「自分たちが昌平に対してできるマックス」(相馬)で戦って勝利を掴み取った。

1回戦は東福岡とのリベンジマッチ ロースコアゲームで勝機を

Aブロックは前回大会覇者の前橋育英(群馬)や尚志(福島)、神村学園(鹿児島)、帝京長岡(新潟)、旭川実業(北海道)、長崎総科大付属(長崎)と今大会屈指の最激戦区だ。

1回戦はFC東京内定のDF中村拓海や丸山海斗、MF荒木遼太郎といった世代別代表を揃える東福岡との再戦となった。夏は相手の得意とするサイドアタックに対し、うまく連携しながら悪くない立ち上がりを見せた中で前半10分に与えたフリーキックを直接沈められて失点。その後は終了間際まで0で抑えたが、得点を取りに行って前傾になったところを突かれて0ー3で敗れた。逆に言えばイーブンの展開であれば守れていただけに今回は早期での失点は避けたい。

多くの時間で守勢に回る展開が予想されるが、全体をコンパクトに保ち、奪ってからの切り替えの速さでサイドバックの背後を突きたいところ。相手のキーマンと対峙するMF草野皓の左サイドはひとつ鍵になるかもしれない。その上で最後はやはり予選3発の大坂に期待したい。インターハイでは無得点に終わり「チャンスは少ないんですけど、それで決めるのが自分の仕事。点を取れなかったことは悔しい」と語っていたエースは県予選初戦となった3回戦の聖望学園戦、準々決勝の武南戦で決勝ゴールを記録。昌平との決勝はPKで同点弾を奪うと、セットプレーから身体を投げ出して逆転ゴールをアシストし、優勝に大きく貢献した。強豪揃いのブロックだが、「観客も相手も驚くようなパスだったり、ドリブルをして注目されたい」という10番にはむしろ好都合か。試合を通して耐える展開が多くなりそうだが、東福岡は予選4戦中3戦で先制点を喫しているだけに、0点で耐えれば必ずどこかで得点のチャンスはあるはずだ。

石黒登(文)