チームを初の関東大会に導いた一振り 昌平MF阿部瑞穂が見せた左足ビューティフルFK弾
今年は怪我もありメンバー外も経験。それでもここ一番の起用に応え、初の関東大会に導いた。
南稜との県予選準決勝。昌平MF阿部瑞穂(3年)はベンチスタートだった中で後半16分、MF荒牧莉子(2年)と代わりピッチへ。「出たのはトップ下だったんですけど、前で出るからには得点を決めるのが自分の役割」と話すアタッカーはFWのようにゴールだけを見据えていた。
そのファーストプレーだ。18分、エリア右手前でリターンを受けた阿部は内に仕掛ける。「シュートまでいければ良かったんですけど、ファールをもらってでも自分で決めようと思った」。フリーキックを獲得すると左足で綺麗に巻くビューティフル弾でゲット。これが決勝弾となった。
実は利き足は右足。だが、左でも遜色なく蹴れるというMFは「今日は調子が良かった」と自らのフィーリングを信じ左足を選択。「ニアに巻いて蹴ろうと思った。キーパーが真ん中にいたので、壁を越えれば入ると思った」。まさに頭の中で思い描いた「イメージ通り」のゴールだった。
千葉のCANA CRAVO FC出身。「選手権に出るために」と選んだ昌平ではなかなかポジションを確保しきるまでには至らず、今季は怪我で出遅れたこともあり、学校総体はメンバー外と悔しい想いも。「自分は寮生活をしていて、わざわざ埼玉まで来ているのに試合に出ないで終わるのは親に申し訳ないなと思っていた」。この日は駆けつけた両親や兄弟の前で最高の姿を見せた。
「最後の選手権は関東を取って、全国に行きたいと思っていたので、とりあえず関東に行けて嬉しい。今回3年生はメンバーに3人しか入っていなくて、関東に行けばまたほかの3年生たちと一緒にできると思って嬉しかったです」。これからまた厳しいポジション争いが始まるが、今回メンバーを外れた3年生とも切磋琢磨しながら関東を勝ち抜け、目標の全国大会出場を目指す。
石黒登(取材・文)