伝統の“松女”が2大会連続のベスト4!初の決勝進出目指し、次戦は春の王者・南稜と激突

女子選手権予選準々決勝。松山女子は5-1で川口市立を下し、学総に続く4強入りを果たした。

「(川口市立は)前半だけで勝負を決められる相手ではなかったので、後半まで選手たちがしっかりとよく走ってくれて、集中を切らさず頑張ってくれた」と松山女子・江口洋監督はいう。

川口市立とはリーグ戦も含め何回か対戦し、そのほとんどが1点差など僅差のゲーム。5月の学校総合大会でも同じくベスト8で両校は相まみえたが、そのときも最終スコアは1-0だった。

この試合も松山女子が押し気味に進めたが、「前半は自分たちの流れに持って行くことが出来なかった」(大山)。相手の粘り強い守りもあり、なかなか決定機まで持って行くことが出来ない。

そういった中で川口市立は前半29分、FWエドワード伶菜(1年)が抜け出し、キーパーと1対1の局面を作り出す。松山女子にとっては絶体絶命の場面だったが、ここはGK麻生未来(3年)が好判断を見せて一気に間合いを詰めてブロック。前半はそのままスコアレスで終了した。

すると守護神のビッグプレーにフィールドも応える。松山女子は後半1分にPKを獲得し、これをDF池田栞奈(3年)が左に身体を残しながら右に蹴る技ありシュートで突き刺してついに均衡を破る1点。10分にはFW内藤梨乃(1年)とのパス交換で抜け出したMF山﨑依茉(1年)のシュートはクロスバーに当たったが、そのこぼれ球をMF坂下梨絵(3年)がきっちり詰めてゲットすると、さらに14分にはゲーム主将のMF大山美博(3年)が入れて3-0とした。

川口市立は後半20分、FW飴谷万葉(2年)が粘り残したボールをエドワード伶菜が決めて1点を返したが、相手に傾いた流れを引き寄せきることは出来ず。松山女子はアディショナルタイムにも大山がループシュートでこの日2点目とすると、終了前には内藤の左コーナーキックからニアサイドでDF大山望愛(1年)がダイレクトで決めて5-1とし、ベスト4入りを決めた。

松山女子は平成初期には定期的にベスト4に入っていた埼玉高校女子の伝統校。しかし、近年はなかなか上位に食い込むことが出来ず、昨年までの10数年はベスト8入りを果たせずにいた。

それでも昨年、松山女子同様、埼玉高校女子で古い歴史を持つ入間向陽を長年指揮した江口監督が赴任すると、同年の選手権で久々のベスト8入り。そして今年は学総でベスト4、今回の選手権でも引き続き4強入りを果たすなど、ここに来て以前のような競争力を取り戻しつつある。

1年生のスタメンも多いが、チームの中心はやはり3年生。江口監督は「僕が関わったのは2年間なんですけど、本当に3年生とは心通じ合うような」とその信頼関係を語る。「1年生が多いですけど、年の壁を少なくして、3年生にもちゃんと言えるようにとか、先生との壁もなく、チームで良い雰囲気を作れるようにしています」とDFリーダーの池田が言うように指揮官の意図を汲み取った3年生が中心となって「松女らしさ」の根幹となる雰囲気の良さを作っている。

ベスト8、ベスト4と来て、次に狙うはもちろん決勝進出だ。江口監督は「2大会連続でベスト4に入れたというのは大きい。なのでもう一個のチャレンジ。南稜は春の王者なので、我々はチャレンジャーとして頑張りたい」とした。新人戦での準優勝があるが、選手権でのファイナルとなれば同校初。相手は紛れもない強敵だが、「松女らしく」挑み、そして新しい歴史を切り開く。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口市立 1-5 松山女子
0(前半)0
1(後半)5