朝霞西高校

アサカニシ コウコウ

活動拠点朝霞西高校グラウンド、朝霞中央公園陸上競技場(人工芝)
練習日週6日、16時ー18時半くらい
HPアドレスhttp://www.asakanishi-h.spec.ed.jp/asanishipublic/clubs/soccer/index.html

今夏の1次予選を制し、2年連続の選手権2次トーナメント進出を決めた朝霞西高校。支部1部リーグを戦うトップチームは惜しくもSリーグ入りを逃したが、昨年発足したセカンドチームは9勝1敗の成績で来季の2部昇格を決めるなど、近年着実に力をつけてきている。

朝霞西を率いる山下暁之監督は浦和レッズの下部組織出身。同期にはトップチーム、愛媛FCでプレーしたMF千島徹がおり、中学2年時には日本一も経験、高校3年時にはユースチームのキャプテンも務め上げた。その後、大学サッカーを経験した後、23歳で教職の世界へ入り、さいたまSCでもプレー。2012年度から同校に異動となり、今年で着任6年目になる。

幼い頃からプロを目指して、自らを磨いてきた山下監督だからこそ伝えられるものがある。「レッズのユースにいた時はサテライトで練習したりもしました。トップレベルの練習はどうなのかとか、その環境というのは肌で体験しなければ伝えられない。逆に高校年代にもっとこういったことをやっておけば成長できたなというところも含めてすべてを伝えていきたい」。

練習の面ではA、Bチームに限らず、1年生もすべて同じサッカーをやることを心がけている。「下だから時間が少ないとかはなく、そこは平等に教えるところは教える。“僕は何が足りないですか、何を練習すればいいですか”と聞かれたら全部答えられる自信はあります」と山下監督。良い意味で公立校の一体感を大切にしながらチームレベルを底上げしてきた。

さらに「内側の部分へのアプローチ」も大事にしている。機械のように押しつけるのではなく、強くなる過程で最適な時にそれを示して、選手のうまくなりたい、強くなりたいという気持ち、行動を引き出しているそう。その他、サッカーをできる環境、支えてくれる人たちへの感謝など、すべては指揮官が現役時代に経験してきたことに基づいた指導を行っている。

今年はインターハイ県大会に出場して1回戦を突破。目標の16強進出にあと一歩と迫ったが、進修館高校に0ー1で破れ「初めての壁にぶつかった」(山下監督)。その悔しい気持ちをバネに臨んだ8月の選手権ブロック代表トーナメント。PK戦に突入した所沢西高校と決勝は7人目にまで及んだが、最後は2年生MF入内嶋哲也がしっかりと沈めて、昨年に続き2次トーナメント行きを決め、「安堵と嬉しさ」(DF平石晴)から総体予選とは違った涙を流した。

現役時代はFWだった指揮官らしく基本スタイルは攻撃だ。力強い3年生に入内嶋らテクニカルな2年生が融合した速いアタックが大きな武器。二次予選では繋げないような場面も予想されるが、高さと強さを誇るFW田頭健斗が前線で収まりどころになれるのは大きい。

2012年の県大会出場を機に、チームは支部1部に昇格、ここ2年は連続して選手権、インターハイと1次予選を突破して、今年はついに1回戦の壁を乗り越えた。目標はやはり16強以上。「ベスト16以上にいって、下の代が県大会の常連になれるように」と主将の平石。チームとしてまた新たなステップに踏み出すために、歴史を塗り替える準備はできている。

石黒登(取材・文)