全国2冠ならずも最後まで「成長」求めてプレー 6年ぶりにレジスタに日本一をもたらした代、今年は10人がJ下部へ

全国2冠とはならなかったが、チームに6年ぶりの日本一をもたらした代は最後まで「成長」を求めてプレーし、大会を終えた。「JA全農杯2021全国小学生選抜サッカー決勝大会」準々決勝が22日に行われ、レジスタFC(関東1位)はオオタFC(中国1位)に0-1で敗れた。

開始早々にPKを与えてしまい、これを決められる苦しい立ち上がり。試合を通してレジスタが押し込む展開となったが、「セカンドボールも拾えていなかったし、裏に裏にやろうとしていて、持てばいいところをクロスにしたり、そこで自滅してしまった」とキャプテンの五十嵐陵(6年)がいうように全体的に裏を狙おうとするあまり、攻撃が単調になってしまうシーンがあった。

第3ピリオドも猛攻を仕掛け、三角隼人(6年)が決定機を迎えたほか、五十嵐や10番・藤澤開次(6年)がゴールに向かう姿勢を見せたが、相手の守備を崩しきることが出来ずに敗れた。

優勝を飾った昨年末の全日本U-12選手権大会から約1ヶ月足らずとモチベーションを持っていくのに苦労した側面もあった。そういった中で中城勉監督は「コロナの感染者が増えてきている中で開催していただけたことに感謝の気持ちしかない。また、この経験を彼らの今後のサッカー人生において生かしていってほしい」と大会開催への感謝と選手たちへのエールを送った。

今年度は6年前の全国Vを見て入団してきた代。新人戦で圧倒的な強さを見せて優勝を飾ると、チビリンピック関東も制した。また、関東少年サッカー大会、全日本U-12選手権大会予選を制し埼玉3冠を達成。そして自分たちが憧れ、目指した舞台で6年ぶりの全国優勝を果たした。

1年を通して良くない時期というのも当然あった。その中でチームとしての部分もありつつ、ひとりひとりが逃げずに自らの課題に向き合って取り組むということは時間をかけて行ってきた。

「うちはチームとしてどうのというよりも、個人がしっかりすればチームはある程度成り立つと思っている。個人として何がなりないのか、どういうことをやるべきなのかということはひとりひとり言う内容が変わってくるんですけど、技術の部分も含めて取り組み方については話をしながらやってきた。いろいろうまくいかないことも多かったですけど、ただその中でやらなきゃいけないところで頑張ってくれたというのは子供たちもやっぱりサッカーが大好きで、自分たちで勝って、全国大会に行って日本一になりたいという気持ちが強かったからこそ(全国で)ああいう試合が出来た。本当によく頑張ってくれたんじゃないかと思っています」(監督)。

今年の代は10人がJ下部へ進む。準々決勝後は涙を流す選手もいた中で翌日のフレンドリーマッチではしっかりと切り替えて、「今後に向かってじゃあ、どうやって自分を変えていけるのか」をテーマに選手たちも「いろいろなところを意識して、成長しよう」と意識高く臨み、VOICE(東海2位)、ベガルタ仙台(東北1位)、柏レイソル(関東3位)に連勝して大会を締めた。

柏レイソルU-15に進む五十嵐は「良い環境に甘えず、レジスタでやってきたことの上に自分の良さをどんどん出して、トップ昇格したい」とこの経験を生かして、次のステージでの躍進を誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

レジスタFC 0-1 オオタFC
0(第1P)1
0(第2P)0
0(第3P)0