池田一義監督赴任3シーズン目。代名詞「攻めて勝つ」を掲げる1年で川口北が県16強に進出

高校総体県予選・2回戦。川口北と伊奈学園の一戦は3-1で川口北が勝利し、16強に進出した。

立ち上がり押し込んだのは伊奈学園だった。MF北川結大、MF中田悠介を中心に攻め込むと、前半7分には北川を起点にMF野溝大揮のクロスからチャンス。FW矢渕実のシュートはキーパーに弾かれ得点とはならなかったが、序盤から相手ゴールに迫るシーンを多く作っていく。

それでも川口北・池田一義監督は「入りのところでちょっと押され気味になりましたけど、しっかり耐えて、失点しなかったところが良かった。ちゃんと自分たちが動かせば自分たちのペースに持っていけると思っていた」という。そしてこの時間帯をディフェンスラインを中心に粘り強く凌ぐと前半17分、DF田口公貴のフリーキックからFW山本優翔が頭で決めて均衡を破った。

するとその後は川口北がボールを持ってゲームを進める時間を増やしていく。後半開始から連続してチャンスを作ると12分、主将のDF大下颯斗が自陣エリアでグッと身体を入れてボールを奪い、MF山倉大路が切り替え早く縦へ。これに抜け出したFW大久保陽太が沈めて追加点。さらに14分にはコーナーキックをファーでFW林大翔がヘディングで叩きつけて3-0とした。

伊奈学園は終了間際、MF遠藤冬樹主将のフリーキックからDF水島空音がヘディングを決めて1点を返したが、反撃も及ばず。3-1で勝利した川口北が久々の県ベスト16入りを決めた。

特に後半は「もっとボールを動かせると思ったし、ハーフタイムに選手にどうだ?と聞いたら、できるということだったので、じゃあ落ち着いてやっていこう」とチームで再確認しボールを動かしながら相手を圧倒。一方で「もうちょっとグループで意図的に崩したり、まだちょっとそれぞれの見ている範囲が狭かったと思うので、広く見ながら、ボールのある局面をグループで崩すようなことができるといいんじゃないかなと思う」と指揮官はさらなるレベルアップを求めた。

20年にわたって務めた市立浦和では「攻めて勝つ」を掲げ、攻撃的で魅力的なサッカーを展開してきた池田監督が赴任して3シーズン目。この2年は様子見もあったという中で今年は初めて「攻めて勝つ」というところを大々的なテーマとして掲げ、それにあたり横断幕も作成した。

「そういう選手がいるというのもあると思うんですけど、やっぱり攻撃に特徴のある選手が多いのでそれぞれの良いところが前面に出るようにやっていこうということで今年初めて「攻めて勝つ」ということでやろうと。いまの3年生とは赴任してずっと3年間やってきているので、3年生は私が考えていることも理解できていると思うし、私自身も彼らと同じ気持ちで一緒にサッカーができるなと思った。あとは彼らがやりたいことを本当に自分たちでやろうとしている部分はあるので、それをどんどん出していけるような環境を与えられればいいと思います」。

3回戦で昌平に破れインハイの戦いはベスト16で幕を閉じたが、後半は前に出る時間もあった。「攻めて勝つ」を掲げる1年。攻撃サッカーを進化させて、選手権ではさらに上の景色を狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

伊奈学園 1-3 川口北
0(前半)1
1(後半)2