昌平FW井出蓮が後半40分間でハットトリック達成! LAVIDA時代は公式戦出場数回も高校で裏抜けに磨き

高校総体県予選・3回戦(13日)。昌平は後半に一挙5得点を奪うなど6-0で川口北を下した。

プリンス関東所属の昌平はこれが県大会初戦。先月U-18日本代表候補に選出されたGK西村遥己、U-17日本代表候補MF荒井悠汰、U-16日本代表候補FW小田晄平らがスタメン出場した。

立ち上がりから昌平は小田の抜け出しやMF平原隆暉が左右に展開しながら今季主戦場を左SBに移した篠田大輝、圧倒的なスピードを誇るDF本間温士が高い位置を取りながら押し込む。

すると前半24分に元U-16日本代表MF佐藤海空斗が「個」でゲームを動かす。敵陣右中間でボールを持つと、ひとつ持ち出して右足で強烈なミドルシュートを突き刺して均衡を破った。

前半はこの1点のみだったが、後半は怒濤のゴールラッシュ。3分にDF津久井圭佑のフィードに抜け出した途中出場のFW井出蓮が決めると、16分には井出とのパス交換からMF篠田翼が続く。22分にはMF大山済のアシストから再び井出。背番号11はさらに37分、本間が相手DFと入れ替わって送ったクロスにニアでピタリと合わせてハットトリックを達成した。アディショナルタイムにはゴールエリア左からMF小山田直人が右足を振り抜いてチーム6点目とした。

川口北はDF栗原歩叶、DF飯塚平真の両CBを中心に粘り強く守って前半を1点に抑えたが、その後相手の圧に耐えきれず5失点。後半はFW神野恒成の左サイドでの仕掛けや後半31分にはFW林大翔がキーパーとの1対1を迎えたが、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。

昌平FW井出蓮が後半40分間でハットトリック達成! LAVIDA時代は公式戦出場数回も高校で裏抜けに磨き

この日の主役は並み居る年代別代表たちではなく、途中出場の背番号11だった。昌平FW井出蓮は「出たら絶対に決めるという意識はあった。みんなからも3点は行けと言われていたし、自分なら取れると思っていた」と自信を持って臨んだ中で3ゴール、1アシストと結果を残した。

後半からピッチに立つとファーストゴールはその3分後。「(津久井)圭佑からは練習中からいつもああいうボールが来ているので、圭佑なら来るなと思ってそこは走り出して、あとはもう決めるだけだった。練習通りかなと思います」。津久井から精度の高いフィードが入ると、これに抜け出した井出は左から内にカットインしながら右足でニアサイドを打ち抜きネットを揺らした。

後半16分にはポストプレーでMF篠田翼のゴールをアシスト。そして引水空けとなった23分のゴールも再び裏への抜け出しから。「もう味方がボールを持ったら抜ける意識はいつも作ってある」。MF大山済のスルーパスにしっかりと反応すると、最後は冷静にキーパーを外して追加点とした。さらに37分にはDF本間温士のクロスにニアで合わせてハットトリックを記録した。

2得点を挙げた裏抜けは武器。「自分はもう裏への抜け出しからのシュート。それはいつも試合中でも数を重ねてやっています」。裏取りについては「1回動き出して、相手がついてきたらまた動き出しを変えて、相手を騙してという感じでやっています」と相手との駆け引きを得意とする。そこからのシュートも持ち味とするところだが、「今日はちょっと(苦笑)。もっと行けたかなと思います」。この日は両軍最多9本のシュートを放った中で得点機以外にも惜しいチャンスがあっただけに「コースが甘かったりした部分があったので、そこは修正していきたい」とした。

今季はプリンスリーグ関東とS1リーグの両方でプレー。プリンス初戦となった第2節の東京V戦では途中出場からゴールを記録したが、その翌日もS1リーグでスタメン出場していた。その意味では多くの公式戦を経験しながら成長出来る状況があり、井出は「中学の頃は試合に出ていなかったので、高校に入ってすごく出場機会が多くなって良かった」と現在の状況を歓迎する。

井出はほかの多くの選手たちと同じく、昌平の下部組織であるFC LAVIDAの出身。だが、「もう1、2年生の時は試合に出ていなくて、3年生の終わりの頃に数回とか、公式戦はそんな感じでした。スタメンも1回あったかなというくらい」と中学校年代はなかなか試合に絡むことが出来なかった。当時は「身長も低くて、相手にちょっとびびっていた部分があった」と振り返る。

それでも高校に入り身長が伸びたことで自信。高校では裏抜けやキーパーとの1対1を絶対に決めきるという意識を持って臨み、自分を成長させてきた。裏抜けというところではLAVIDAの1学年先輩であり、昨年のエースストライカーだったFW小見洋太(現・アルビレックス新潟)の存在が刺激に。「ずっと見ていて、洋太はすごい裏抜けがうまくて、決めるところをきっちりと決めていて、洋太に近づけるようなプレーヤーになりたい」と日々の練習に取り組む。

また、現在同じ1トップのポジションを争う2学年下のU-16日本代表候補FW小田晄平も刺激を受ける選手のひとり。「晄平は足が速いですし、裏抜けもなかなかうまいので、そこは見習う部分」と井出。その中でも「晄平はちょっとタイミングが遅かったりする部分があると自分でも言っていた。自分はそれよりももっと速く、相手にバレないように裏抜けして、その1本で決めるという意識はあります」と、磨き上げてきた裏抜けからのシュートは負けないと自負する。

「一緒にやっている部分では刺激にもなりますし、お互い練習でも切磋琢磨が出来ている。いまは晄平がスタメンですけど、今後は自分がスタメンで出るという意識を持って練習でも一生懸命やっていきたいと思います」と定位置争いにも意気込み。加えて「後半から出ても絶対に結果を残せる」と自信を見せるFWは「毎試合3点は必ずいきたい」と連続ハットトリックを誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 6-0 川口北
1(前半)0
5(後半)0