高円宮杯での昨年超えを狙うアスミ。本来とは違うベースでまずはクラセン関東切符獲得

 

最終目標の高円宮杯で昨年超えへ―。クラブユース選手権(U-15)埼玉県予選でアスミは本来のボールを大切にするスタンスではなく、「戦う」というところにフォーカス。ブロック決勝は似た特徴を持つジョガドールが相手だったが、「相手のドリブルがうまいとわかっていたのでそこを早めに潰すというところと、前に早くボールを送るところを意識していた」(MF下田蒼太朗)。高い位置でボールを奪い、奪ったらすぐに縦へ。このサッカーを相手は相当嫌がっていた。

推進力のあるサッカーで流れを握ると前半15分、中盤のボールカットからFW渡部翔太がドリブルで運び相手DFを引きつけてスルーパス。これをFW島垣魁が右足で流し込んで先制した。

後半は枚数をかけて攻めてくる相手に対して押し込まれるシーンもあったが、CB藤沼瑛勁らディフェンスラインが粘り強く対応。すると後半28分、先制ゴールの渡部が自らのシュートのこぼれ球に左足を振り抜いて逆サイドネットに突き刺して2-0とし、関東大会出場を決めた。

すべては高円宮杯で先輩たち超えを果たすため。昨年はクラブユース選手権で関東大会に進出。1回戦では東京の強豪・三菱養和SC巣鴨を倒している。戸田直人監督は「ここは高円宮杯に向けて逆算した時に鍛えなければいけないところ。やっぱり走らせて、戦わせて、闘争心を植え込む。ボールを大切にできる子たちなので、9月にまた去年のリベンジをしたい」と狙いを話す。

「本来だったら持たせた」中で高円宮杯から逆算し「走る」「戦う」といった根幹的なことをテーマに掲げての関東切符獲得に「しぶとくなった」と戸田監督。「この大会を戦いながらこのサッカーをできたというのは成長」というようにチームにとって結果以上に大きなものとなった。

また、今回はプレーのバリエーションを広げるべくポジションも一度ミックス。1ゴール、1アシストの渡部は本来ワイドの選手だが、オフ・ザ・ボールの動きを磨かせるため今大会はFWに。「サイドと受け方が全然違うので難しかった」となかなか本来のプレーを発揮できないところもあったが、ディフェンス面や1回戦では苦手な右足で決めるなどひとつ成長。県トレにも選ばれている10番の久保原心優は普段のトップではなくボランチでプレー。「決勝は守備が多めになってしまって、もうちょっと攻撃で押し込められた」と反省したが、後半はドリブルテクニックでエリア内に侵入するなど存在感。今後は「フィニッシュにこだわっていきたい」とした。

近年埼玉県4種で存在感を放っている上尾朝日FCはアスミの直系クラブ。今年は現中3が少年団大会で、現中2が4種リーグ選手権で優勝するなど力を持った選手が揃う。クラブユース選手権関東大会での活躍も楽しみだが、そこでさらに成長し高円宮杯での先輩たち超えに挑む。

石黒登(取材・文)

試合結果

ACアスミ2-0 ECジョガドール
1(前半)0
1(後半)0