全国強豪相手に「全選手」が経験値積む。1年生正木、熊川も思い切ったプレー【めぬまカップ】
花咲徳栄は今大会、「全選手が出場する」がひとつのテーマ。昨年は総体がなくなり、選手権予選もベスト8で敗退と、圧倒的に足りていない経験値を補うべく全選手に同じだけの出場時間を与えた中で、末貴光監督は「課題も多く見えた。本当に良い経験を積ませてもらった」とした。
2日目の初戦は神村学園伊賀と対戦。DF平澤青季主将や昨年の選手権予選にも出場したFW滝沢美結、MF竹田華子、DF三尾心々美、大矢静佳など、本来のスタメンに近いであろう形で臨んだ。試合は序盤から空中戦などで劣勢を強いられた中で先に失点したが、後半27分に1年生MF熊川朱音の展開から三尾のクロスの形でコーナーキックを獲得すると、滝沢のキックからゴール前の混戦を竹田が押し込んで同点に。そのままPK戦にもつれ込んだ中で2-4で敗れた。
連戦となった幕張総合戦はメンバーを総入れ替えして挑む形に。こちらは前半22分に中盤でボールを受けたMF下園舞桜がドリブルで独走し、最後は飛び出してくるキーパーを冷静に見てゴール左隅に転がして先制。1点リードで折り返したが、後半に2失点し逆転負けを喫した。
2戦ともに最後の部分での詰めの甘さも出た中で実戦の中で貴重な経験値。平澤主将は「止める蹴る、ヘディング、1対1、サッカーにおける基本的な部分もやっていかなければいけないと感じた。チームでプレーが合っていないところが多いので、戦術理解ももっと深めていかなければいけない」。今年は身体能力で抜けている選手がいない分、攻守の切り替えやチームとしての連動がキーに。そういった中でも1戦目に出場した熊川やFW正木佑奈といった1年生が思い切ったプレーを見せたのはプラス材料。正木は「もっとコートを広く使ってプレーしたかったんですけど、真ん中に嵌まってしまった」と反省したが、総体予選に向けて新たな力となりそうだ。
また今大会は初日に神戸弘陵(1-0○)、福井工大(0-6●)、2日目に神村学園伊賀、最終日には常磐木学園(0-2●)と昨冬の選手権出場チームと多く対戦したことも選手にとっても大きな刺激となったはず。久しぶりに「挑戦者」として臨む今シーズン。花咲徳栄は真摯に課題と向き合いながらひとつひとつ克服していき、埼玉タイトル奪還、そして3年ぶりとなる全国を狙う。
石黒登(取材・文)
試合結果
花咲徳栄 1(2PK4)1 神村学園