第99回全国高校サッカー選手権大会準々決勝 山梨学院 vs 昌平
またしても分厚い4強の壁。昌平は後半に猛攻しかけるもあと一歩届かず。個を引き上げて再びこの舞台へ
昌平は後半に猛攻を仕掛けたが、山梨学院の粘り強い守備を前にネットを揺らすことはできなかった。
前半7分にセットプレーから失点すると、球際の強さを見せる相手になかなかセカンドが拾えず。持っても縦パスを封じられるなど、前半は昌平らしい攻撃を発揮することができなかった。
「前半は外に振るという状況で終わってしまっていたので、中でボールを運んでいく。相手が来たからパスをするのでは相手の視野の中だけでサッカーをしてしまう状況になってしまう。パスとドリブルの使い分けを意図的に意識的にやっていこうという話をしました」(藤島崇之監督)。
後半はボランチの小川優介や柴圭汰が怖がらずにひとつ持ち出す動きを交えていくと攻撃が活性化。猛攻を仕掛ける。相手のゴールエリア前で連続してパスを繋いでいく“らしさ”が見え始めると29分には途中出場のMF篠田大輝の仕掛けからFW小見洋太が粘り、MF須藤直輝がひとつ持ち出して強烈なシュートを放っていくが、名手・熊倉匠に防がれてゴールとはならない。
その後も小見が、DF生島翼が、柴が次々とゴールに迫ったが、山梨学院の最後のところで足を出してくる粘り強いディフェンスに防がれて最後までネットを揺らすことができず。後半は押し込んでゲームを進めたものの0-1で敗れ、2年連続のベスト8で昌平の挑戦は幕を閉じた。
藤島監督は「後半は切り替えながら強気に攻撃をする姿勢だったりと修正ができましたけど、1点が遠かった」。「前半の内に攻撃の良さと判断ができれば、ゲーム展開が良くなったのかなと思います」と前半の戦いを悔やみながらも「選手たちはよくやってくれた」と労った。
今年は小柄ながらもテクニカルと集団を融合させたサッカーで勝ち進んできたが、「その中で個で打開できる選手を増やしたい。うちの良さであるグルーピングをうまく作れる状況はあると思うので、攻守ともに個でボールを奪える選手、突破できる選手ということに関しては今年は須藤などがいましたが、それに代わって出てくるような状況ができればチームとしてもサッカーの方向性もブラッシュアップしながら、相手に読まれないようになってくると思う。伸びしろがある選手もいるので、チーム作りの中で方向性を共有しながら、色を出していければと思っています」。来年度以降も昌平らしいグルーピングを継続しつつ、さらに個を高めていく必要性を語った。
今年は主将として大黒柱としてチームを引っ張った須藤は「後半は自分たちのやりたいサッカーをやろうということで徐々にリズムが出てきましたが、最後の質という所は課題が残ったので、2年生、1年生にはそこの課題を追及していってもらいたい。後半は色々なことをチャレンジできたので、来年に繋がるんじゃないかと思います」と後輩たちに想いを託した。
この日ピッチに立ったMF平原隆暉やMF荒井悠汰、途中出場したMF篠田大らが中心となって再びこの舞台に戻り、来年こそはベスト4の壁を乗り越えて悲願の日本一を目指す。
石黒登(取材・文)
試合結果
山梨学院 1-0 昌平
1(前半)0
0(後半)0