第99回 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 決勝 昌平 vs 武蔵越生
選手権埼玉2次予選決勝が15日行われ、昌平が3-0で武蔵越生を下し、大会2連覇を飾った。
戦前の予想通り、序盤から昌平がボールを持って押し込む展開となった。MF須藤直輝、MF小川優介らが中心となってショートパスでゲームを作りつつサイドを使い、FW小見洋太が積極的にフィニッシュに絡んでいく。前半22分にはMF柴圭汰のロングフィードから右SB本間温士がトラップでディフェンスを外し、内に切り込んで放ったシュートがクロスバーをかすめた。
一方、武蔵越生は主将のDF木村一世を中心に自陣にブロックを敷いて昌平の強力攻撃陣を迎え撃った。また引いているだけではなく、前半35分には左サイドでボールを持ったFW寺島啓太が勢いに乗ったドリブルから打ったシュートはわずかに左に外れたが、スイッチが入った時の怖さを見せる。38分のピンチはDF松永浩弥がスライディングで掻き出し、ゴールを守った。
前半は攻め込んでいる一方で「臆病になって鋭いパス、きわどいパスを入れずに回してしまった」と須藤。保持率に比例するような決定機を作れずにいたが、それでも後半ついに試合を動かす。
2分、昌平はMF荒井悠汰が起点となり、小見のクロスにMF平原隆暉がヘディングで決めて先制点。6分には荒井のアシストから小川が左足で決めた。さらに11分には小見が左サイドを縦に仕掛け、こぼれ球に平原が詰めてこの日2点目。10分足らずで3点を決めて大きく引き離す。
攻めるしかなくなった武蔵越生は1失点後に攻撃の切り札であるFW五十嵐大翔、FW渡辺光陽を投入。後半26分には渡辺の放った右足ミドルがゴール隅を捉えたが、キーパーのビッグセーブもありゴールとはならず。攻める展開も作った中でネットを揺らすことはできなかった。
試合はこのままタイムアップ。3-0で勝利した昌平が初の大会連覇となる通算4度目の優勝を飾り、5週間に及んだトーナメントは幕を閉じた。
平原隆暉2ゴール、小川優介1ゴール。LAVIDA勢の活躍で昌平が連覇を達成
決勝で武蔵越生を下し、見事大会2連覇を達成した昌平。その屋台骨を支えたのが下部組織であるFC LAVIDAの選手たちの存在だ。決勝の舞台でもLAVIDA出身選手たちが活躍を見せた。
先制点の場面では世代を超えたLAVIDAホットラインが開通。1年生MF荒井悠汰が起点となり3年生FW小見洋太に繋ぐと、クロスにドンピシャのタイミングで合わせたのは2年生MF平原隆暉。同じサッカーを共有してきたからこそなせる息もぴったりなプレーで得点を挙げた。
2点目は荒井のアイディア溢れる浮きスルーパスにMF小川優介が反応。切り替えしからしっかりと左足で決めた。荒井はこの日2得点に絡む活躍。昨年はLAVIDAの全国8強入りに貢献した新鋭MFは「彼は実力でポジションを掴んでいる」という指揮官の言葉をプレーで証明した。
さらに3点目は小見のクロスから最後は平原が押し込んでこの日2点目。小見は決勝でゴールこそなかったが、警戒を受けながらも2アシストと得点に絡むなどさすがのプレーを見せた。
そのほかにも今大会はDF田島魁人(田島もLAVIDA出身)の負傷により急遽出番を得て新鮮な驚きとなったDF本間温士に加え、DF生島翼は空中戦で存在感。また、荒井とともに昨年のチームを引っ張った元U-15日本代表MF佐藤海空斗も終盤に選手権デビューを果たしている。
昨年も5人が全国のメンバー入りをしたが、今年は決勝のスタメンで6人が出場、ベンチを含めれば10人がLAVIDAの選手だった。26人のリストで見ればその数は13人にまで増える。
まさに6年指導が実を結んでいる結果であり、藤島崇之監督は「ビジョンを持ってできる、そのビジョンを共有してできるスタッフがいるというのはすごく大きい。小見にしてもそうですけど、あそこまで伸びしろがある選手というのも珍しい。そういった部分でまた選手育成について見極めのポイントも増えてくるかなと思っている。6年をかけてしっかりと判断のできる選手を育てていきたいというのは、また次に繋げるためにもやっていきたい」と手応えを口にした。
決勝で出番はなかったものの、MF井野文太も本来スタメンで出てもおかしくない選手。今回ベンチ入りを逃したメンバーにも有望株はまだまだいる。来年はここに今季関東1部リーグ初参戦初優勝を成し遂げた期待の中3人が入ってくる予定。しばらく昌平の時代が続くかもしれない。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 3-0 武蔵越生
0(前半)0
3(後半)0