第13回埼玉県第4種サッカーリーグ選手権大会準決勝 上尾朝日 vs 浦和レッズジュニア
第13回埼玉県第4種サッカーリーグ選手権大会・準決勝。浦和レッドダイヤモンズジュニアと上尾朝日フットボールクラブスポーツ少年団の一戦は、1ー0で上尾朝日FCが競り勝った。
積極的に仕掛けた山谷が4強壁破るゴール 決勝では対戦相手も「ナイスプレー」と賛辞
サイドで何度も仕掛け続ける姿勢がチームにエネルギーを生み、終盤の決勝弾を呼び込んだ。
左サイドで出場した山谷康太朗は後半17分、滝沢大輔のフリーキックがクロスバーに当たってこぼれたところを胸トラップしてゴールに流し込んだ。“全少”では跳ね返された4強、さらに同大会覇者のレッズを破る値千金のゴールに「あの試合は特に嬉しかったです!」と喜んだ。
全日本予選では怪我明けで人の配置も違う中で調子を落としていたというが、「4種選手権は本来のポジションで縦への突破という彼の良さを伝えて、取られても、取られても、何回でもチャレンジしていくところをどんどん言ってチャレンジさせた」(佐藤監督)。すると準決勝では前半から失敗を恐れずに仕掛け、縦への推進力や武器のひとつである左足のキックでしっかり中にクロスを送ってチャンスメイク。この前向きのエネルギーが最後決勝弾に繋がった。
決勝ではゴールはなかったものの、準決勝同様に思い切りの良い切り込みからチームに勢いを生んだ。試合後には取材の裏を通り抜ける相手選手たちが山谷に対し「ナイスプレー」と賛辞。試合が終わればノーサイドとばかりに相手を称える言葉を贈れる選手たちにも驚かされたが、それもやはり果敢に仕掛けていく彼の直向きなプレーが伝わったということなのだろう。
「少年団大会もあるので、そこでも浦和レッズ戦みたいにどんどん仕掛けて点数を取りたい。(中学校年代では)コートが広くなるので、どんどんスピードで切り込んでシュートを入れたいです」と山谷。同じく左利きの日本代表MF堂安律(PSVアイントホーフェン)をイメージしているというアタッカーは、この成功体験を糧に次の年代でも積極果敢にゴールを狙う。
「これが良い負けになった」と言えるように。レッズJrは課題を修正して初の全国大会へ
「負けるべくして負けたというか、上尾朝日の方が勝ちたいっていう気持ちが前面に出ていた試合でしたし、その部分は僕たちが足りなかった。実力だなと思います」と金生谷仁監督。
途中からプレスの位置を中盤に変えてきた相手に対し、そこのプレッシャーをうまく剥がせず。「この大会はチャレンジしろと言い続けていた中でもう少しゴール前まで運びながら、変化を見てできればよかったんですけど、そこは課題というか、まだまだかなと思いました」。
後半は実戦では初の2ー4ー1にシステムを変更。中盤を厚くし、点を取りにいく中で立ち上がりは良いリズムで試合を進めたが、終盤「リーグ戦とかでもファールが多くてそこから危ないシーンもあった」(和田)というファールを与えるとフリーキックのこぼれ球を詰められて失点。シュート数では相手の2倍となる10本を放ったが、ゴールを挙げることはできなかった。
“全少”を前に勢いをつけることはできなかったが、「この負けたことがあの子たちにとって一番大事なこと。ここで全部を勝ち続けていたら見えないものや、見失うものがたくさんあったと思う。この負けから得るものはたくさんあると思いますし、それを最後しっかり自分たちでこの負けから得たものを表現する準備をして、全国大会に臨みたいと思います」と指揮官。
主将の和田直哉は「今日は声が出ていなかった。いつでも雰囲気を作りながら、無駄なファールはなしで、しっかり集中するところは集中して、点を取れるところで点をとっていきたい」「修正点をみんなで見つめ直しながら全国大会に臨んで、『これが良い負けになった』っていう思い出にしたいです。全国大会はいろいろな人にも応援されているし、レッズとして初出場なので、そこで良い結果を出して、もっといろいろな歴史を変えていきたいです」とした。
この敗戦を無駄にしないためにも残りの期間で再度しっかりと自分たちの課題に向き合い、初の全国では「これがひとつターニングポイントとなった」と言えるような活躍を期待したい。
石黒登(取材・文)
試合結果
上尾朝日 1-0 浦和レッズジュニア