全国高校サッカー選手権埼玉県大会 準々決勝 西武台 vs 西武文理

第98回全国高校サッカー選手権埼玉県・準々決勝(2日、駒場スタジアム)。インターハイ覇者で9年ぶりの頂点を狙う西武台は西武文理を2―1の逆転で下し、準決勝進出を決めた。

先にスコアを動かしたのは西武文理だった。前半15分、左サイドのMF山玉脩登がディフェンスと入れ替わる形でカットインを仕掛けると、ゴールほぼ正面でフリーキックを獲得。MF橋下淳がフェイントをかけてヒールで残し、山玉がゴール右隅に右足で流し込み早々に先制した。

しかし先行を許した西武台もすぐさま反撃。失点から2分後の前半17分、DF関口凱心からの縦パスをFW西岡健二が落とすと、立ち上がりにポスト直撃のシュートを放っていたMF岩田璃玖が左足を振り抜き、狙いとしていたワンタッチパスからの3人目の動きで同点に追いつく。

前半は西武台がこの日アンカーの位置に入ったMF村田智哉がディフェンスラインの組み立てに加わりながらボールを保持し、サイドチェンジなどから好機をうかがうが、西武文理はMF武藤大輝が西武台の攻撃の起点であるMF池田上総介にマンツーマンでつくなど決定的な仕事をさせず。これまでの2戦同様相手の長所を「消す」戦いを貫き、それ以上のシュートは許さない。

さらに西武文理は後半に入り4バックから5バックシステムに変更し、ゴール前に蓋をした。

西武台はボールを持ちながらもなかなかシュートに持ち込めずにいたが、後半23分についに均衡を破った。その直前にピッチに入ったMF今田剛から前線に正確なフィードが入ると、抜け出した西岡が半身になりながらバックヘッド気味にゴールに流し込み、これが決勝点となった。

西武台は大会前にFW谷直哉が右足を骨折。前線でポイントになり、相手ディフェンスを下げさせることのできるエースの不在は大きいが、谷に代わってセンターFWを務める西岡が2戦3発とその穴を埋める活躍を見せる。これで今季最初に掲げたベスト8をすべての大会で突破。守屋保監督は「ベスト4のところからちょっと思い切ってプレーさせてあげたい」とした。

2戦連続3ゴール目。エースの代役務める西岡「次は自分が直哉を全国に連れて行く番」

これで2戦連発3ゴール目。不在の谷直哉に代わり、点取り屋としてチームを引っ張るFW西岡健二は「次は自分が直哉を全国に連れて行く番」とエースの想いも背負ってピッチに立つ。

武器は「動き出し」と「決定力」。今年はリーグ戦からインターハイ1回戦まで6試合連続と得点を量産したが、2ゴールを奪った1回戦で新人戦で負った右膝の故障を再発。チームはその後4年ぶりの優勝を飾ることになるが、西岡自身は2回戦以降登録を外れることとなった。

好感触もあっただけに「最初は落ち込んだ」というが、そんな西岡に言葉をかけたのが決勝のハットトリックでチームを全国に導くことになる谷だ。「直哉から『俺が全国に連れて行くからお前は頑張って怪我を治して全国で活躍しろ』と言われて。その言葉がいまでも忘れられなくて、次は自分が直哉に全国をプレゼントしたいという気持ちでこの大会は臨んでいます」。

自分も同じ経験をしたからこそ、怪我で戦線を離れるつらさはよくわかる。今大会は谷の想いも背負い3トップの中央でプレーする中で初戦となった3回戦の浦和西戦でいきなり2ゴールを決めてしっかりとエースの穴埋め。この試合でも持ち前の動き出しと決定力の高さを見せた。

前半17分に楔のパスをきっちりワンタッチで落としてMF岩田璃玖のゴールをアシストすると、最大の見せ場となったのが後半23分。MF今田剛がキックモーションに入ると同時に動き出し。間接視野でキーパーが前に出ているのを捉えると「半身でやることによってボールの勢いも殺さずにヘッドができる」。ほぼバックヘッドのような形からファーサイドに流し込んだ。

「直哉を全国へ」は全員の合言葉だが、それを一番胸に思っているのは背番号17だろう。「次は自分の番」。あの時の約束を今度は自分が返すべく、西岡は最前線でゴールを積み重ねる。

石黒登(取材・文)

試合結果

西武台 2-1 西武文理

1(前半)1
1(後半)0

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