全国高校サッカー選手権埼玉県大会1回戦 慶應志木 vs 秀明英光

第98回全国高校サッカー選手権埼玉県大会1回戦(14日、浦和南高校会場ほか)。慶應志木高校と秀明英光高校の一戦は、慶應志木が7ー2で逆転勝ちを収めて、2回戦進出を決めた。

先制点を奪ったのは秀明英光だった。前半開始わずか2分、MF相原天汰の右サイドからのアーリークロスを左ウイングバックの齊藤柊がボレーで合わせて早々にゴールネットを揺らした。

一方、出会い頭の一発を喰らった慶應志木だが、「今年はこういう展開で返せた試合も多かったので前半のうちに1点は返せるかなというのはありました」と主将のDF蓮沼介永。すると前半7分、MF小池真寛の落としをFW古川廣太郎が左足を振り抜いて同点ゴール。さらに10分には小池のクロスにチームのポイントゲッター、FW黒澤世吾がヘディングで決めて逆転した。

勢いに乗る慶應志木は前半22分、自陣からのフリーキックの混戦をDF藤井壮がオーバーヘッドで決めて3点目。39分には小池のコーナーキックがオウンゴールを誘い、リードを広げた。

前半最後にPKを決められ1点を返されたが、後半も慶應志木が優勢に試合を展開。7分には左サイドバックの野澤孟、1年生MF田村優喜と連続して相手を引きつけながら崩し、横パスをMF香山達明が冷静にゲット。さらに23分には途中出場のFW杉本涼太が、26分には野澤のコーナーキックから黒澤がこの日2点目を再び頭で突き刺してゴールショーを締めくくった。

次戦の相手は大宮南に。今年はインターハイ1回戦で対戦し1ー0で勝利したが、内容はシュート本数2対17と押し込まれた。その大宮南は1回戦で草加を13ー0で下しており、今回も相手にボールを握られる展開が予想される。それでも蓮沼主将は「インターハイでは大宮南に勝った後、2回戦の越谷西戦も延長戦までいった中で延長前半に1点を決めてそのまま守りきって勝てた。この1年間で粘り強さは特徴になったのかなと思います」と守備に自信。ヘディングで2ゴールを決めた黒澤は「次もまた点を取ってチームを勝利に導きたい」と意気込んだ。

「流れをこっちに持っていきたかった」。元気印・古川のゴールから慶應志木が7発大勝

「相手に先制点を取られて流れがすごく悪くなっていた。この取り返す1点はすごい大事だと思っていました」。古川はそういってチームに勢いをもたらした同点ゴールを振り返った。

失点から5分後の前半7分、クロスの落としを腿でうまくコントロールして左足を一閃。得点後はかなり感情を爆発させていたが、その理由について古川は「流れをこっちに持っていきたかった」と明かす。そのプラスの感情に引っ張られるようにその後チームは得点を量産し最終的には7発大勝。主将の蓮沼も「ああいう喜びひとつでチームの雰囲気が変わっていく。あの感情表現は良かったと思います」と、その場面がひとつターニングポイントになったとした。

気持ちを前面に押し出したプレーが信条で「どんどん仕掛けていって自分たちの流れに持っていくのが自分の役割」だと話すチームの元気印。次戦・大宮南戦でも背番号13は前線からガツガツとチェイスし、ゴールとなればまた感情を大いに爆発させてチームメイトを鼓舞する。

石黒登(取材・文)

試合結果

慶應志木 7-2 秀明英光

4(前半)2
3(後半)0