S1リーグ第16節 昌平 vs 正智深谷

S1リーグ第16節(6日、昌平高校)。1位と2位の直接対決は首位を走る昌平高校が2位の正智深谷高校に2ー0で勝利。勝ち点を44に伸ばし、2試合を残してリーグ4連覇を決めた。

勝てば優勝の決まる昌平はトップ下のMF須藤直輝が中盤でボールに多く絡んで攻撃を展開。前半2分に右サイドアタックから須藤が内に切り込みながらシュートを打つもここはDF山田裕翔がブロック。18分には敵陣右サイド深くで奪ったスローインをFW小見洋太がヘディングでリターンし、須藤がカットインから狙ったミドルシュートが惜しくもクロスバーをかすめた。

対する正智深谷も前線から積極的にプレスをかけていき、左サイドMFの波多野晟愛の打開力を軸にスピード感のある攻撃を仕掛ける。最大のチャンスは前半16分。ゴール前でFW金田奎人、MF佐々木達也が連続してシュートを放ったが、昌平のGK牧之瀬皓太が立ちふさがった。

前半はそれぞれ好機を作りながらゴールは生まれずハーフタイムへ。それでも後半開始早々にスコアが動く。3分、昌平はゴールやや右寄りの位置でフリーキックを獲得すると、MF鎌田大夢の狙いすましたキックは綺麗な弧を描きながらゴール左隅に突き刺さるゴラッソとなった。

これで試合の流れを引き寄せると後半31分、須藤が左サイド深くで仕掛けクロスを鎌田が右足で低く鋭く突き刺して2点目。守ってもディフェンスラインを中心に正智深谷の攻撃を0でシャットアップした昌平が2ー0で勝利し、4年連続5回目の県リーグタイトルを勝ち取った。

鎌田大夢がFK弾を含む2発! 公式戦初のキッカー起用でビューティフルゴール

フリーキックのシーンは「隠れて練習していた部分もあったので」自信はあったという。

公式戦では初めてキッカーを任されたというMF鎌田大夢は後半3分、ゴールやや右寄りで獲得したフリーキックでスポットに立つと、短い助走から右足でボールを擦り上げるようにして蹴り出す。ボールは線で描かれたように完璧な軌道を描きながらゴール左隅に吸い込まれた。

「気持ちよかったです。結構完璧なコースに行って、思い通りにいったので良かったです」。

チームではDF大竹琉生がキッカーを担う中でこれまでなかなか蹴るチャンスが回ってこなかったが、「落とすボールも蹴れるので、距離が近い時は僕の方が蹴れる自信があります」。藤島崇之監督も試合後、これから始まる選手権に向け、キックの2枚看板として期待を寄せた。

さらに後半31分には今度は須藤のクロスのこぼれ球に思い切りよく右足を振り抜いて再びネットに突き刺し、優勝を決める試合で2得点の活躍。「最近練習試合でも調子が良くて、だんだんコンディションも上がってきているので、このまま選手権の決勝まで出続けられればと思います」とライバルの多い2列目、3列目のレギュラーポジション争いに猛烈にアピールした。

兄は独1部フランクフルトでプレーする日本代表FW鎌田大地。「結構比べられることもあるんですけど、逆に大地の弟という感じで知ってもらえているところもあるので良い部分も悪い部分もあります」。それでも「ハイライトは結構見ますし、ドルトムントとかアーセナルとか有名クラブと対戦したりしているので、本当にすごいなって感じです」という存在は刺激だ。

中学年代はJFAアカデミー福島で腕を磨いた中で昌平には「練習参加した時に高校サッカーとは思えない技術を持っていてそこに惹かれました」というMFはこの3年間で「ボールの持ち方が昌平っぽくなりました」と成長を語る。「選手権に出たくてここに来た。過去2年間は選手権のメンバーに入れなかったんですけど、やっと入れそうなので絶対に全国に出て、良い結果を残して、最後笑えたらいいと思います」。最高の流れで初めてにして最後の選手権に臨む。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 2-0 正智深谷
※昌平がリーグ4連覇を達成!