第98回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会一次予選 山村国際 vs 大宮武蔵野

第98回全国高校サッカー選手権大会埼玉大会1次予選・1回戦。グループIの山村国際高校は大宮武蔵野高校に先制を許すも前半のうちに追いつくと3ー1と逆転し、2回戦に進出した。

開始からボールを握ったのは山村国際だったが、「外に回して行くだけで横パスしかなかった」と荻野賢喜監督が振り返ったように初戦の固さもあってか、なかなか縦へのパスが入らず。

すると大宮武蔵野は引水直後の前半24分、相手ゴールキックからのリスタートのセカンドを拾うとMF鈴木柊也がスルーパス。これにFW中島瑛紀が抜け出し、右足でネットを揺らした。

攻め込みながらも先制点を許した山村国際だが、それでも前半終了間際の39分にMF加藤尋斗の縦パスに反応した1年生FW加藤有貴がエリア右の角度のないところから突き刺して同点に追いつくと、後半1分にはセンターバックの長谷川聖虎が左サイドを駆け上がり、マイナスのパスを呼び込んだ10番のFW三本松孝典が右足で落ち着いてゴールネットを揺らして逆転。

後半29分にはゴール前で加藤有にボールが入ると、これに寄せたディフェンスのプレーがオウンゴールに繋がり3ー1。終盤も押し気味に試合を進めた山村国際がまずは初戦を突破した。

逆転勝ちはしたものの、サッカー自体は課題の残る展開に。荻野監督は「リスクを負わないで逃げるようなパスばかりでは攻めにならない。リスクはどう攻めてもあるわけだから、そこは理解して失敗したら追えばいいだけのこと。2回戦は心の持ちようから修正したい」とした。

この経験を良薬に、2回戦の本庄高戦ではチームスタイルの「攻撃サッカー」に期待したい。

中学学総得点王・加藤有貴は「絶対に点を取って勝ちます!」と高校サッカーに意気込み

この日は流れの悪い中で前半終了間際にスルーパスに抜け出して同点弾。後半はオウンゴールを誘うと、直後の味方のこぼれ球を狙ったシュートはキーパーのレッド覚悟の守備で防がれたものの、存在感を放った1年生ストライカーは「壁パスや得点でFWとしての仕事はできたんですけど、自分の持ち味のドリブルは生かせなかったので今日は50点くらいです」とした。

昨年の中体連学総では準決勝、決勝で連続ハットトリックと大暴れ、5戦合計9得点と高い得点能力を見せて坂戸若宮中を初優勝に導いたストライカーには県内強豪私学からも声がかかったという中で「彼はスペシャル」と、その才能に惚れ込んだ荻野監督が熱烈オファー。「山村国際は自分のことをしっかりと見ていてくれた。一番の決め手となったのはやっぱり勉強のサポートもしっかりとしていて、サッカーにもしっかり力を入れられるかなと思って選びました」。そんな文武二道を目指す言葉に違わず、学校の成績でもベスト10に入っているという。

ストライカーの証「9」も期待の表れ。今予選は本来エースを務めるMF和田陽生が怪我で戦線を離脱という状況だが、「やっぱり県大会に行くのは当然のこと」とまずは1次予選突破を最低ラインとした。もちろん中学時代同様、その先を見据える加藤に最後に「自分が来たからにはチームを勝たせてやるくらいの気持ちはあるか」と質問をぶつけると、「あります! 絶対に点を取って勝ちます!」と、はっきりとした口調で高校サッカーへの意気込みを見せた。

石黒登(取材・文)

試合結果

山村国際 3-1 大宮武蔵野