関東高校サッカー大会埼玉県予選 決勝 武南 vs 浦和東

関東高校サッカー大会埼玉県予選。決勝は4月29日、埼玉スタジアム第2グラウンドで行われ、武南高校が延長戦の末に1ー0で浦和東高校を破り、7年ぶり17度目の栄冠に輝いた。

堅守の浦和東か、ポゼッションの武南か。浦和東は準決勝と同じく中盤4枚とディフェンス4枚で強固なブロックを形成し、自由なスペースを与えないことで武南のアタックに対応する。

武南は前半18分にFW大谷涼太がミドルで狙うも今大会好セーブを連発したGK川村龍世が横っ飛びでキャッチ。20分には自陣から繋いでMF小宮陽貴の右からのクロスに大谷が頭ひとつ抜け出した打点の高いヘディングで合わせたが、これは惜しくも枠を捉えることができない。

一方、前半はシュート「0」に終わった浦和東も、後半は選手を入れ替えながら少しずつ反撃に出ていく。15分には代わって入った2人が絡んで決定機。ディフェンスラインからの1本のパスにMF大澤遥基が右サイドを抜け出すと、グラウンダーのクロスにその直前にピッチに立ったばかりのMF佐藤翼丞がファーサイドで滑り込んだが、シュートはわずかに枠外に外れた。

武南は後半35分にMF宇田川拓真のフリーキックからMF矢地柊斗がネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定に。浦和東はアディショナルタイムにロングボールを味方が競ったこぼれを大澤が右足で狙ったが、シュートはわずかにポストの左。その後もセットプレーからゴールに迫ったが、スコアは動かず。互いに譲らず、勝負は80分を超えて延長戦にもつれ込む。

延長戦でチャンスを作ったのは武南。延長前半3分にはDF安野天士の右コーナーキックを大谷がドンピシャのヘッドで合わせるもわずかに上。7分には大谷の強烈なシュートが枠を捉えたが、川村がワンハンドで弾き出してゴールは許さない。攻め込みながらもなかなか浦和東の誇る堅守をこじ開けられずにいた武南だったが、延長前半終了間際についにスコアを動かした。

延長前半10分、MF清水光太のフリーキックをゴール前で矢地がすらすと、エリア内の混戦は一度、相手ディフェンスに弾かれたが、セカンドボールは再び矢地の元へ。後半から投入された切り札はこれを正確にコントロールすると迷わず右足を一閃。キーパーの反応をも許さない強烈なボレーが直後ネットに突き刺さった。この試合12本目のシュートで武南が先制した。

延長後半もしっかりとゲームを閉めた武南が1ー0で勝利し、久々に埼玉県の頂点に立った。

昨年大山照人前監督からチームも引き継ぎ、母校を優勝に導いた内野慎一郎監督は喜びも表しつつ「自分も含めて勝ったからどうというのはこの大会は全然思っていない。決勝も相手をこじ開けられなくて内容も散々だった。そこはちょっと引き締めたり、ひとつの通過点として今後の糧にしていきたい」とし、本戦に向けては「初戦に力を注ぎたい」と一戦必勝を誓った。

誰よりも闘志を燃やしていた男、切り札・矢地柊斗が決勝弾!「もう最高に嬉しいです」

延長前半10分、フリーキックから逸らしたボールが再び自らの元に戻ってくると、MF矢地柊斗はワントラップから迷わずに右足を振り抜き、チームに欲しかった決勝点をもたらした。

「正智とのリーグ戦も0ー0から決めていたので、そこからシュートの意識はずっと高かった」と矢地。ゴール後は「観客席が遠くて、どこに行ったらいいかわからなくなちゃって(笑)」と右往左往しながら仲間たちの待つスタンドで祝福を浴びた。これが決勝点となり武南は7年ぶりの栄冠。殊勲の11番は「もう最高に嬉しい。最高です!」と特大の笑顔で答えた。

一番結果を欲していたのはこの男かもしれない。今大会は1回戦を除く、すべての試合で後半頭からの出場。「先発で出てもおかしくない選手」(内野監督)だが、今回は切り札の役割を求められた。もちろん最初から出たい気持ちもあった中で「40分でもできることはいっぱいある。今大会はそんなにスタメンにこだわらず、与えられた役割を全力でやりました」と矢地。

3回戦の埼玉栄戦では左サイドハーフとポジションチェンジを繰り返しながら得意のスピードに乗ったドリブルで相手を翻弄。逆に準決勝の聖望学園戦では3ー0からピッチに入った中で、さらに得点を奪いにいくべきか、それともこの点差を維持すべきか悩んでいる間に試合が終了し、結局持ち味を発揮できず。「そこからちょっともう、結構本当に落ち込みました」。

決勝は津島公人コーチにアドバイスを仰ぎ、「相手のディフェンスを引っ張れ、あとはサイドバックとの距離が近いから離れて受けろ」と指示を受けた中で「延長戦からそれも意識できた。自分のやりやすいようにできました」。そして決勝点のシーンへと繋がっていったわけだ。

「みんなからスーパーサブ、スーパーサブって言われてプレッシャーがすごくて、今大会も毎回点を決めろと言われていたんですけど全然入らなくて。そこはひとつ課題ができました」。

関東本大会ではスタメンで出るか、途中出場から出るかはまだわからないが、先発となれば得意とする相手の懐に入っていくスピードドリブルから今大会の武南に足りなかったサイドを抉っての形を補うことも十分可能。ジョーカーとしての経験値も重ね、今後の活躍が楽しみだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 1-0 浦和東

0(前半)0
0(後半)0
1(延長前半)0
0(延長後半)0

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